超低騒音・低振動で基礎工事「タイチ式サイクルハンマー工法」
工期短縮、コスト縮減を達成 VE提案で大きな成果


大智(株) 古木克典会長

大智(株)・古木克典会長 土木、建築で必然的に発生するのが基礎工事。ただ、施工中の振動、騒音は、周辺住民にとって、公害以外の何者でもない。苦情が多いため工事がストップすることも…。この難題を解決したのが大智鰍フ古木克典会長だ。超低振動・低騒音のタイチ式サイクルハンマー工法を開発し、今や県内をはじめ全国の現場から驚きの声が上がっている。
 土留杭、抑止杭などを施工する場合、大口径ボーリングマシンで掘削し、H鋼を埋め込み支持するのが一般的。従来工法では、一体型のハンマーで叩いて、掘削していくのに対し、タイチ式は、4〜7個に分割した小型ビットが微振動によりその役目を果たす。それぞれ独立順次に振幅5_、毎分7000回の高周波垂直運動し破砕するため、振動、騒音の大幅な低減を実現した。
 従来工法とデータで比べると(最大)、エアーハンマーが35b地点で振動61x、騒音94xであるのに対し、タイチ式は3b地点で振動42x、騒音65xと、比較にならない近い位置でも従来工法より静か。掘削径はφ300_〜1020_までOK。最大深度35bと殆どの現場で使用可能だ。
 古木会長は、平成17年9月に個人名で特許を取得。その内容は、商標、意匠、工法、機械装置など14項目にも及ぶ。同時に特許協力条約(PCT)への出願も済ませており、加盟国138カ国で権利を行使できる。既に台湾で申請が許可されたほか、アメリカ、香港からも問い合わせがあるという。
 現在、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)にも登録中。「ここ1年の受注実績では、設計に盛り込んであるのが2割。設計変更になったのが8割」。住宅が密集する都市部では、打って付けの工法として発注者からの信頼が厚い。機械もコンパクトで従来工法と比べ、工期短縮、コスト縮減を達成できる。このため大手ゼネコンからも引っ張り凧。入札時のVE提案では大きな成果を発揮している。
 「騒音・振動で工事周辺における住民の権利、財産が脅かされていることが開発に至ったきっかけ。装置を小型化したことで従業員の高齢化にも対応できる」と古木会長。企業人として社会的責任を果たしたいと願う想いが商品に息づいている。 
2008.01.14掲載

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