廃ASをその場で再生・使用 「ASRR工法」
環境にやさしく、効率性や機動力も抜群
(株)九建(植木町) 新永 隆一社長
葛繻噤i新永隆一社長、鹿本郡植木町岩野1375)が考案した「ASRR(アスル)工法」は、廃アスファルトを100%再利用したアスファルト舗装技術。小規模工事に適し、現場で発生した廃アスファルトをその場で再生、使用できるのが最大の特徴だ。すでに県内の道路維持工事などに使われ、効率性や機動力が抜群と高い評価を得始めている。
この工法は、けん引タイプの移動式ユニットを用い、現場で発生した廃アスファルトをドラム(溶触炉)内に投入後、わずか10分の早さでアスファルト舗装材料へと変えてしまう。材料費や産業廃棄物運搬費、処理費等の経費が不必要で、従来の工法に比べて約20%のコストダウンが可能。処理技術の革新によって二酸化炭素も軽減され、環境保全や温暖化防止にも大きく貢献している。
開発着手は4年程前。地方交付税等の削減で、市町村の道路新設に対する予算確保が厳しいと言われる中、"既存する道路の維持補修・管理への対応は、今後、最も大きな課題になる"との考えから乗り出した。
開発にあたっては、▽ひび割れやポットホールなどの小規模な傷み個所を材料なしで随時補修▽道路の長期使用が可能となるだけでなく、将来的なコストダウンにつながるもの―などの観点から300回以上の実験を重ねたという。
自社の生き残りもかけたこの取り組みは、結果、全国初の工法を生み出すこととなり、今年3月には、熊本県の新技術・新工法活用システムの試験フィールド工事に区分された。
低価格で高品質な仕上がりは、公共から民間へと広がり、最近では「私の家の駐車場もやって頂きたい」と声がかかることもしばしばだ。
同社は現在、工法の普及促進を図るため『ASRR工法協会』の設立準備を進めている。全国から会員を募集しており、順調に行けば、18年度内にも設立に漕ぎ着ける。
新永社長は「今後は、県内市町村の路線状況を独自に調査・データベース化し、工法との併用で、道路の維持管理が計画的、効率的に行えるようなシステムづくりを行いたい」と意欲を燃やす。 |