(株)斎藤建設(上天草市) 野添浩喜さん
広報紙作成し地域と密接に
国民や社会に建設業が果たす役割や必要性について、理解を深めてもらうことは業界にとって重要な課題の一つ。斎藤建設の現場代理人として第一線で働く野添さんは、現場の広報紙づくりを通して地域との関わり合いを深めている。業界に向けられた厳しいイメージを払しょくし、地域との関係性を深めるためには、「建設業者自らが情報発信力≠身に着けていく必要があるのでは」と訴える。
〈三方良しの公共事業推進研究会にも所属している野添さんは、発注者だけでなく工事の中で地元との関わり合いができないかと考え、まずは自分たちの現場の工事内容を知ってもらえればと、平成21年頃から広報紙づくりに取りかかる〉
広報紙づくりにあたって、新聞社が主催する講座に足を運んだり、PTA新聞等を参考にしました。作成はエクセルを使って、雛形の中に写真や見出し、文章を入れ込んでいきます。目にとめてもらえるように写真を大きく掲載したり、見出しに動きを付けたりと工夫を凝らし、失礼がないように文章にも気を使います。月1回の発行ですが、交通規制など地域に迷惑をかける場合は号外も発行しています。
〈当初は、主に工法や工事の進ちょく状況などを掲載していたが、自分たちの活動状況を一方的に伝えるだけでなく、もっと地域との結びつきを深める方法がないかと考え、現在では地域の方々の活動や地元商店も紙面で紹介している〉
以前、現場近くの公園でトイレ清掃をしている住民の方を紹介したところ、涙を流して喜んでもらえたことが非常に嬉しかった。広報紙のおかげで以前に比べて地域との関係性が密になり、今では広報紙を置かせていただいている店舗もあります。
〈工事を担当する地区によっては高齢者が多い所もあり、独居老人の孤独死を目の当たりにしたことも。高齢者宅を一軒一軒訪ねて広報紙を配布し、会話をすることで安否確認にもつながるのではないか、と新たな活動意義も見出す〉
現在、施工を担当している国道266号の工事ブログ(http://kokudo266.doorblog.jp/)も立ち上げており、過去に作成した広報紙や作成方法なども掲載しています。今後は、私と同じように広報紙づくりをしている仲間を集めて情報交換をしていきたいですね。
【メモ】
三方良しの公共事業推進研究会 地域住民に公共工事を理解・協力してもらうための活動を支援する組織。住民・発注者・施工業者の三方に利益をもたらす公共事業について、個人では難しい情報発信・啓発活動を行っている。 |