(株)第一コンサルタント 坂口隆之社長
諦めたらその時点で終わり


写真


 15回目のチャレンジでこの春、理系の最高峰である技術士(建設部門)への仲間入りを果たした。次なる目標を総合監理部門に切り替え、より総合的な見地から高度化・複雑化する専門技術に向き合おうと考えている。そのひたむきな姿に技術者としての矜持(きょうじ)が見え隠れする。





〈福岡大学の工学部土木工学科を卒業し、35歳まで故郷の本渡市役所に勤務。技術畑を経験しながら、技術士補や下水道技術検定第2種の資格を取得した。その後、家業の土木コンサルタント業へ。時はまさにバブル最盛期の1980年代末。業界が多忙を極める中、がむしゃらに業務に勤しんだ〉
 苦労している父のやり方を見ていると、時代に乗り遅れている気がしまして。何とか力になりたくて入ってみると、とにかく忙しい。道路、河川をはじめ公園、建築、機械、電気…。かじったことのないものまでオールマイティーにやり、当然、苦労はしました。そんな経験が、ある意味宝物≠セと思っています。
〈技術士に初挑戦したのは45歳になってから。毎年、受験する一方で、技術士に代わって業務管理や照査責任を行うRCCMの資格も取得した。気がついたら7部門を制覇し、まだ幾つか欲しい部門があるという〉
 RCCMは業務の幅を広げる意味では何かと有利になるかと。私の場合、受験に向けて特別に時間を割いてということはやりませんでした。社会人になると無理ですし。力を入れたのは日々の業務です。分からないことがないように努めましたし、課題を違う観点からみる訓練をしました。設計や計算をするのが技術屋だと思っていましたが、次第に考えられる技術屋を求めていました。
〈自分の業務が社会にどう貢献できるのか、この事業が世の中に如何に役に立つのか。技術屋でいることの意味を自問自答しながらチャレンジした15年間は、日々が受験勉強だったのかもしれない。苦労して手に入れた登録証を横目に真情を吐露する〉
 うれしいですが「ヤッター」と飛び上がって喜ぶような気持ちではないんです。何か重いものが肩にのしかかったというか。でもこれまでお世話になった先輩たちに恩返しができて良かったと思っています。それがあったから挫(くじ)けずに受けられた。信条はベストを尽くす。結果は次≠ナす。絶対諦めない強い意志。諦めたらその時点で終わりということです。

【メモ】
技術士
 科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者で、科学技術の応用面に携わる技術者に与えられる権威のある国家資格。高い技術者倫理を備え、継続的な資質向上に努めることが責務となっている。21の技術部門をカバー。全国で毎年、3万人が受験し、合格率は10%程度。
2011.8.15掲載

戻る

  All right reserved for west japan construction news Co.,Ltd    renewed on 2004/4/8 Y.アクセス昨日 T.アクセス本日