熊本駅前東A地区市街地再開発事業作業所 畑中靖博所長
環境PRでコスト以上の付加価値
熊本駅前東A地区市街地再開発事業作業所の建設工事共同企業体を組織する戸田建設鰍ヘ、昨年末、日本建設業団体連合会(日建連)の第1回快適職場表彰で優秀賞を受賞した。仮囲いに太陽光発電パネルを設置するなどのユニークな取り組みが評価されたもので、現場を預かる畑中靖博作業所長の顔もほころぶ。
〈熊本駅前再開発事業の一環として施工中の同作業所では4棟の施設を建設中で、その一つは熊本県ナンバー1を誇る超高層タワーマンション。太陽光パネルは、現場の仮囲いのほか、マンションに設置するユニット外部足場に設けている〉
仮囲いに32枚、外部足場に24枚のパネルを設置しています。それぞれ地下1階仮設照明やタワーマンション垂直養生ユニットせり上げ用ウィンチの電力に使っています。CO2削減で環境に配慮していますが、コスト的には微々たるものかもしれません。ただ熊本駅の近隣住民、周囲への環境PRや建設業のイメージアップなど、コスト以上の付加価値があると考えています。
〈国内外で営業展開する戸田建設鰍ヘ、この現場を「低炭素施工システム(TO―MINICA)モデル作業所」に指定した。さらに排出した建築廃材は、バイオマス発電により、工事現場で利用できるグリーン電力に還元する「戸田カーボンニュートラルスキーム」を社内で初めて適用している〉
当社では2020年をめどにCO2排出量を40%削減(1990年比)するアクションプランに取り組んでいます。そのためには現場の全ての面での効率化が必要です。数値化して明確にすることで目標にもなりますし、作業員への環境に対する意識づけができます。太陽光パネルはほんの一例にすぎません。結果的に環境が整う快適な職場につながるのではないでしょうか。
〈こうした先駆的な活動は、国内でも波紋を呼び、新聞、テレビなどマスコミの取材がひっきりなしの状況。これに伴い官公庁、大学、建設業団体、韓国ゼネコンなどが視察に訪れており、対応に追われる日が続いている〉
注目される現場だからこそPRに務め、建設業の魅力を伝えていきたい。本来は子どもたちにというのも構想の一つとしてあります。我々の取り組みについては、発注官庁をはじめ、入居企業の方々から、高い評価を頂いています。今後も作業所の役割を認識しながらPRの場を提供していこうと考えています。
【メモ】
快適職場表彰 日建連が平成21年にまとめた「建設技能者の人材確保・育成に関する提言」の中で取り組み強化を盛り込んでおり、その一環として今年度に創設。全国から22社、170件の応募があり、優秀賞など15件を選定した。今回は、小規模作業所でも導入できるよう「コストをかけずに実施できる事例」などが選ばれている。 |