(社)熊本県建築士会水俣芦北支部青年部 溝口亮氏 「昔ながら」 キーワードに実践活動
7月3日に開催予定の平成22年度九州ブロック研究集会「建築士の集い」福岡大会では、「昔ながらの地域の和」をテーマにプレゼンテーションすることが決まっている。水俣版エコハウスの建築を通じた地域での実践活動を参加者に伝えたいと考えている。
〈福岡国際会議場で開催される研究集会は『筑紫(つくし)からアジアへ拓く、建築士の新時代』〜地域の元気をとりもどす、地域貢献活動〜がテーマ。水俣芦北支部青年部の実践活動を紹介しながら、建築士として地域に向き合う姿勢を模索する〉
水俣市が進める水俣版エコハウスの建設・普及プロジェクトの中で、我々青年部が建築士として、どのように関わっていけるのか。環境共生型住宅を普及させたいという行政の想いを実現するため会議を開き悩み抜いた。そんな中で出てきたキーワードが「昔ながら」。地域の方々に「昔ながら」を体験してもらい活動すれば普及につながると考えた。
〈体験活動は、土突き、手斧立て(ちょうなたて)の儀、上棟式、土壁塗り・泥団子体験―など、市民を巻き込みながら、水俣の建築文化を支えてきた伝統技法へとたどり着く。自身が持つ建築士、左官技能士の技術は土壁塗りや泥団子づくりに活かされた〉
土壁の家は、水俣の風土にマッチしたまさに環境共生型住宅。自然と同居して家が呼吸するというか…。体験会は、この日本の伝統構法の良さを感じてほしくて開いた。土壁を仕上げていく段階で、漆喰に光沢を出す「大津磨き」という技法を応用したのが泥団子づくり。古来からの塗料「弁柄(べんがら)」を混ぜて磨くと大理石のように輝き、子供から大人までものづくりの素晴らしさを伝えられたと思う。
〈溝口さんは変わった経歴を持つ。水俣工業高校から野球の名門、日本文理大学へ進学する。「野球で飯が喰えたらな〜」とひたすら精進。中九州リーグではリーディングヒッターに輝いたほどの猛者だ〉
周りをみたらみんな社会人、プロを目指す一流の選手。寮生活で辛いこともあったが、1年生で遠征メンバーに選ばれた。自分も将来は、社会人かプロで頑張ろうと。でもそこに行けるのはほんの一握り。左官業を営む父親とも相談して今の仕事に落ち着いた。泥団子もつくれる野球選手
=B結果オーライですよ。
【メモ】
エコハウス 建設、居住、改修、建替のライフサイクル全体で環境負荷低減可能な住宅設計手法(エコハウス設計手法)を活用して造る住宅。環境省は平成21年度にこの普及・促進を図るため、全国で水俣市を含む20の自治体を選定し「環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」を実施した。 |