八代市建設部街路公園課  下川哲夫 課長
独自の回廊ネットワーク構築へ



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 今年度の全国街路コンクールで八代市の「八代緑の回廊線」が優秀賞を受賞した。この路線のユニークな点は、市内中心部を回廊する形で、自転車歩行者専用道路を配置したこと。沿線には季節ごとの多様な緑(花・木)を植栽するなど、これからの街路づくりのモデルとなるアイデアを随所にちりばめた。



〈事業は平成 6年度から19年度までの長期に及んだ。延長6850b、幅員 5〜10bの区間に総事業費33億2000万円を投入。「安全」「やすらぎ」「うるおい」「健康」をテーマに、八代市民が誇れる空間の創出を目指した〉
 JR八代駅から松崎公園までは元々、興人、メルシャン、日本セメントなどの工場専用鉄道が敷かれた引き込み線。それに郡築干拓で利用された用水路をつなげ、市街地を回廊する路線として整備した。軌道敷や用水路だったため当初から自動車用という考えは無かった。
〈路線の沿線は小中高の学校が立ち並ぶ。途中いくつかの市道、県道が交差しているものの全線が安全な空間を創り出す。市民の通勤・通学、散策路として快適な通路。全国でも珍しい取り組みに県内外の自治体が注目する〉
 昭和61年度に策定した新総合計画の中に「緑のネットワーク構想」があった。これをたたき台に具現化したのが本路線。県内では水俣市に日本一長い運動場、菊池川沿いに河川天端を利用した歩道等があるが、市街地でのこうした専用通路は本市だけ。視察に訪れる自治体が特に興味を示すのは、せせらぎ水路など、この路線が持つ環境への配慮≠セと感じている。今年3月には「くまもと景観賞」も頂いている。
〈八代市は干拓により造られた都市なのでほとんどフラットな土地だという。このため自転車利用率も高く、専用道路に対する市民の理解も十分得ることができた。この通路を活かす術(すべ)は、もう始まっている〉
 今年度に国土交通省と一体となって取り組む水辺のプロムナード整備でさらに球磨川沿いまで広げる。なんといっても新規の通路や既存の歩道とを回廊線と有機的につなげていくことが重要だ。環境に負荷をかけない道づくりの先進地として、独自のネットワークを構築していきたい。

【メモ】
全国街路事業コンクール 望ましい街路事業の推進と整備基準・技術水準の向上を目指し、全国街路事業促進協議会が地方公共団体とその事業を表彰している。今年度は26件の応募の中から国土交通大臣賞など10件を表彰した。県内では、熊本県、熊本市、八代市、人吉市が特別賞を受賞した実績がある。 
2009.07.16掲載

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