水俣市環境モデル都市推進課 川野恵治 課長
協働で推進℃蜻フとなるのは市民
昨年7月、政府が環境モデル都市に選定した水俣市。今月25日に東京で開催される建築環境・省エネルギー機構主催のフォーラムで、取り組み内容をプレゼンする。モデル都市としての提案には、これまで水俣市が培った知恵≠ェ見え隠れする。
〈水俣市は、平成4年に日本初の環境モデル都市づくりを宣言しており、16年の時を経て、地道な取り組みが実を結んだ。暮らしに直結するゴミ問題を足がかりに、環境問題を市民と一体となって考えている〉
水俣病を踏まえた経験を活かすことは我々の努め。市民のごみ問題への意識も高く、ゴミの分別・リサイクルについては、早い時期から取り組んでいる。ただ、環境モデル都市としての活動はCO2削減が大きな柱で、市民の動きがそれにどう反映されていくかを伝えていかなければならない。
〈モデル都市の実現に向けた構想では@環境配慮型暮らしの実践A環境にこだわった産業B自然と共生する環境保全型都市C環境学習都市―の四つの目標を設定して施策を展開中。こうした取り組みにより、2050年にはCO2の排出を50%削減するという〉
市では11年にISO14001を取得しており、その理念を各家庭へ波及することに力を注いできた。市はサポート役に徹し、あくまでも主体となるのは市民。お互いの約束事なので自主性に委ねている。ポイントは協働で推進≠キることだと思っている。
〈施策も十数年になるとマンネリ化の誹(そし)りも免れない。如何にして行政が市民を巻き込むか。常に、市民の意識を高めていくために課題を見つけ、問題解決の行動へつなげている。そういう先進的な取り組みを視察に訪れる自治体も少なくない〉
視察後の反応は「幅広い活動ですね」といったものが多い。確かにどこでもやっているようなことを幾つも、早い時期から展開してきた。その中には行き詰まっている施策もあり、市民の意識の低下となって現れている。モデル都市の指定はそういう意味ではいいタイミングだった。身近な問題から、地球規模の問題へと視点を変えることで、新たな目標を見据えることが出来る。
〈新年度からは、新施策の予定もある。今のところ予算が確定していない段階だが、新エネルギーに対する補助制度を導入し、一般家庭まで浸透させようという狙いだ〉
太陽熱発電・温水器に対する補助制度を考えている。国の制度に上乗せする形で進めたい。学校の耐震改修に合わせ、環境に配慮した設備を導入したエコスクールの建設にも取り組むことにしている。順次、公共施設に環境設備を設置し、先導的な施設に位置づけたい。
【メモ】
環境モデル都市 温室効果ガスの大幅な削減など低炭素社会の実現に向け、高い目標を掲げて先駆的な取り組みにチャレンジする都市を選定。昨年、全国で水俣市をはじめ6団体を選んだほか、新たに今年、1月に7団体を追加した。 |