益城町下水道課 大埜 敏 課長
クイックプロジェクト≠ナコスト縮減
第1回国土交通大臣賞(環境のみち下水道賞)のサスティナブル活動部門で益城町が表彰された。飯野地区で平成19年度に実施した新工法で低コストを実現。下水道課の大埜敏課長は「既存の技術を漫然と使っていても効果は見込めない」と更なる飛躍を目指す。下水道事業の普及を図るため創意工夫が求められる今日、益城町の取り組みに全国の自治体の視線が集まる。
〈国土交通省の金子大臣は、今後の下水道整備で『土地利用状況によっては露出の管渠で整備コストを縮減する』ことを手法の一つと位置づける。地域の実情に合わせ、効果的な工法への取り組みに期待する〉
飯野地区には、地域の貴重な水資源である『潮井水源』が湧水している。このため下水道整備を早急に行う必要があった。国土交通省が進める下水道未普及解消クイックプロジェクトに呼応し、町でも地域の特性を踏まえた新たな整備手法として露出配管工法を採用した。
〈実際、従来工法(埋設工法)に比べ、コストを24l縮減、工期も58%短縮させた。具体的には事業費4200万円を3200万円に、工期140日を60日に。地理的条件が上手く噛み合ったとはいえ、驚異的な効果といえよう〉
露出配管工法では擁壁や水路沿いの民地に下水道管を設置した。露出する分、管は強度があるVP管を使った。ほかにポリエチレン管も検討したが、コスト面で除外した。人があまり近寄らない擁壁や水路といっても個人の敷地である以上、住民の理解を得ることが一番。地元に十分説明した上で、協力してもらった。結果的には宅内排水設備もリーズナブルで、個人負担も軽減できた。
〈こうした町の取り組みは露出配管のみならず、ベントサイフォン方式(改良型伏越し)の採用により新たなコスト縮減を生み出す。この方式を連続的にすることで、推進工法を開削工法に変更。維持管理にコストがかかるマンホールポンプも省略しコスト・工期とも20l台に縮減・短縮した〉
先進地の自治体では、常識的な工法。マンホールポンプをなくすことで、ライフサイクルコストも低減できる。今後、曲管等使用によるマンホールの省略についても検討しており、更なるコスト縮減に取り組む予定だ。
【メモ】
下水道未普及解消クイックプロジェクト 平成18年に発足。下水道計画手法、新たな整備手法の導入、集落排水・浄化槽との連携強化―の3つの施策を展開する。新たな整備手法では7つの技術を全国のモデル市町村で社会実験中。今後、普及予定の8つの技術も公開している。 |