(有)熊本ビーエフコンサルタント 今村 徳也 社長
「パソコンがやったから間違いない」は問題



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旧F本ビーエフコンサルタントの今村徳也社長(50)は、橋梁の設計が得意分野。これまで数多くの橋梁を設計し世に送り出している。


〈橋梁の設計では、橋梁が所定の機能を有することに加え、安全に供用しうることが大前提。今村社長は23歳からこの業界に足を踏み入れ、平成4年に会社を設立。15年間で375橋の設計に携わっている〉
 橋梁は与えられた条件が全て違うので、その現場を如何に的確に把握するかが難しいし奥が深い。私の設計コンセプトで優先するのは施工計画。現地踏査を繰り返しながらフローチャートが浮かんでくる。どんな工法で、あの機械を使って…。現場には10回以上出向く。監理者の立場になって設計する。現場重視なんです。私の師である先代社長緒方から、常に施工者の立場で設計するよう厳しく躾けられた。それを継承しています。

〈設計手法も人からコンピューターへ。パソコン処理により設計速度も格段に上がった。技術者気質≠ェ根っからの性分である今村社長は、自分を「古い考え」と自嘲しながらも、若い技術者の育成に杞憂する〉
 私たちの若い頃は、大きな電卓を前に図面は手書き。見た目の綺麗さを求め、字の練習も相当やった。5時間掛かって仕上げた図面に先輩が訂正のチェックを入れるとまた5時間掛けて書き直し。設計はアバウトだったかもしれないが、ミスは少なかった。
 今はCADがあるし、計算ソフトが勝手に計算してくれる。訂正もクリックするだけ。間違った数値を入力しても答えが出るんですよ。「パソコンがやったから間違いない」という使い方が問題。自分が求める結果になるようモデルを組んで、それをパソコンで立証する。そうした姿勢でパソコンを操って欲しい。

写真〈地震国の日本は、その都度、震災に対応した技術変遷がなされている。最近では兵庫南部地震を契機に平成14年に道路橋示方書が改訂された〉
 11年に手がけたT型ラーメン橋(橋長210b)が思い出深い。それまで耐震設計は保有耐力法で部材を決めており、動的解析は照査する手法として規程されていた。しかし、この方法は精度が悪いため動的解析法で設計し、無事検査を終了することが出来た。その後の示方書改訂でラーメン橋は全て動的解析法で行うよう指示され、自分の考えが間違っていなかったことが立証された。

【メモ】
道路橋示方書 平成14年の改訂では、性能規定型の技術基準を目指している。これは「応力度が許容値を超えない」から「応答値が限界値を超えない」ことへの移行。地震荷重による応答値が降伏以下を査証することが基本となっている。
2008.05.15掲載

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