蛇の目ブロック
原 裕一社長
信頼の製品づくりへ絶えずチャレンジ
創業100周年、更なる挑戦のステージへ
コンクリートブロックやガーデニング用品、各種建材を販売する蛇の目ブロック(原裕一社長、熊本市東区月出1丁目)が、4月で創業100周年を迎えた。モットーに「生命は信頼」「製品は質」「発展は社会の幸福」を掲げ、一歩一歩着実に成長してきた。「皆様との100年の絆は、社の信用を支える不変の礎。今後もその恩に報いるべく、社員一同研鑽を重ね、地域社会の発展に寄与していきたい」と熱く語る原社長に、これまでの軌跡や今後の展望などを聞いた。
――100周年を迎えた感想
大正15年、肥後硬化煉瓦工場として創業した。それまで安政町で和菓子屋を営んでいたが、戦前、健軍に軍事産業の工場があった関係で、黒煉瓦などを造るようになったのが始まりと聞いている。私は4代目だが、先代の父が早くに他界し祖父から会社を引き継いだかたちになるので、実質は3代目。正直、社長に就いて30年(1996年〜)と感じるだけで、100年という意識はあまりない。もう少し昔の色々な話を聞いておけばよかったと思う。
――社長に就任してからの歩み
大学卒業後、東京の建設コンサルタント会社に就職したが、祖父からの強い要望もあり、約1年半で退職し、熊本に帰ってきた。2年後に会社を任されたものの、当時は経営が苦しく、いつ閉鎖してもおかしくない状況だった。そこで、会社を建て直すために経理を覚え、コンサル時代で学んだ事業計画を立案、金融機関の融資を受け設備投資をした。当時はスタンダードなブロックしかなかったが、化粧ブロックなど時代のニーズに応える製品を開発し、顧客との繋がりも強くなっていった。
もう一つ重要な転機は、青年会議所に入ったこと。会議やコミュニケーションの方法、経営哲学などを学ぶことができた。異業種の人とも交流でき、「大きな会社でも厳しいことはたくさんある。自分だけではない」と励みになった。その縁で中国の石材商社を紹介され、直接貿易ができるように。その後、ドイツにも仕入れ先を拡大していった。
――熊本地震の後の対応
前震と本震の間の4月15日が創業90周年の日だったが、祝賀会も記念旅行も中止に。工場は倒壊したブロックの海となり、設備もボロボロ。どう片づけていいか分からない状態だった。東日本大震災を体験した福島県の同業者に相談したところ、復興需要があるので急いで会社を復旧するようにアドバイスを受けた。そこでまず、スプリッターという加工機械をメーカーに注文。その後、県のグループ補助金を申請して、他の設備や壊れた工場などを再建した。
――職場の環境改善
熊本地震から3年間は設備投資の時代だったが、令和元年から3年間は働き方改革を進めた。まずは工場の環境改善。粉塵だらけで、暑い中での作業だった環境を、工場建屋にガルバリウム鋼板を貼ることで、見た目がきれいになり、スレートとの間に空気の層ができるので以前のように暑くなくなった。地震で傷んだ建物基礎は耐震化し、敷地内のアスファルト舗装や雨水排水対策も進め、快適に工場内を移動できる環境を整えた。もちろん職員の給料も。
――災害に強いブロック
昨年春、CP型枠V型擁壁の製造工場として、熊本で初めて国土交通大臣認定を取得した。宅地造成等規制法施工令に規定する特殊な材料・構法を用いており、盛土や切土で生じる崖等を確かな基礎と擁壁で守ることができる。
基礎となるベース筋ブロックを製造しているのも熊本では弊社だけ。熊本地震で多くのブロック塀が倒壊し、一番大事なのは見えない部分だと再確認した。このブロックは基礎がしっかり作れ、工期も短く、従来工法よりも安い。3拍子そろった工法だ。
――経営方針
ものを作る会社なので、やはり信頼される製品を提供していくことが一番。そして、商売では「損得」より先に「善悪」を考えること。適正価格で提供して、適正利潤をいただいて、会社の成長に繋げていくことが大切。そして、顧客や取引先だけでなく、まずは社員が満足する会社づくりに努めること。個人的には「素直」を大切にしている。邪気を回さず、真っ直ぐな気持ちで物事を見ることが、自分の生きざまに合っている。
――今後の展望
ブロック業界だけで、これ以上成長するのはかなり難しい。そこで、まずは今ある「ヒケン」という名の工事部門の分社化を計画している。ブロック工事にこだわらず、幅広い施工会社として成長していければと思う。以前より駐車場の経営もしていたが、今年2月からはアパート経営も始めた。今後、不動産関係の仕事も進めていく。
また、今年3月には縁があって、熊本市南区の生コン会社を引き継いだ。将来的には2次製品なども製造する企業に育てたいと思っている。
いずれにしても、社内に多くの人材が育っているので、一歩一歩会社を成長させ、「ヒケングループ」として、これまで以上に地域に貢献できるグローバルな企業になればいいと考える。 |