熊本県建築協会
会長 鐵谷浩之氏
建築の魅力 粘り強く伝える


 熊本県建築協会の会長に就任した鐵谷浩之氏(豊工務店社長)は、目指すべき協会を地域からより身近に感じて貰える存在≠ニ掲げる。「まずは、コロナ禍により中止や縮小になった様々な事業活動を元に戻すのが優先」と最初の仕事を見定めた。1989年4月から2015年3月まで熊本県庁職員として務めた経歴を持ち、行政も熟知する。会員と行政の中間的立場として官民連携も強化する方針で、「協会の更なる繁栄のため、しっかりと責務を全うしたい」と意欲を示す。



――会長就任にあたっての抱負を
 公園トイレ清掃、献血、災害時支援、SDGsへの取り組み等の社会貢献活動など、歴代会長が築いた事業を踏襲しつつ、更に発展もさせ、地域社会に寄与していきたい。全ての会員で協議・意見を交わすのが理想としており、特に若い世代には積極的に協会活動に参加し、意見も述べてほしい。

――協会の課題とその解決策は
 若手入職者の減少等に伴う人手不足がある。建築系大学・専門学校・工業高校に、インターンシップや意見交換を通して、地元で働く意義や建築の魅力を粘り強く伝えていく。将来を担う人材の裾野を広げるため、2年前から小学生などを対象に始めた「くまもとたてものづくりフォトコンテスト」も引き続き行う。子ども達が建築に興味を持って貰えることが入職促進の第一歩となる。

――26年間県政に従事され、行政の立場から見た協会のあり方をどのように認識されていますか
 土木技術行政に長年携わったが、法令等に基づく事業執行など様々な制約がある。一方、業界側は一つの企業だけでは出来ることも限られ、クリアできない難しい課題が多々ある。協会は、会員企業と行政の間に立つ立場だと考えており、双方の窓口となって意見・要望を聞き、課題解決や会員の繁栄・発展ができるよう官民連携を強化していく。

――現状に対する行政へ要望はありますか
 急騰する原材料費などの取引価格を請負代金に速やかに反映させ、場合によっては適切なスライド条項の適用をお願いしたい。
 業界は、コロナ禍をはじめ、ロシアによるウクライナ侵攻問題、半導体不足等に起因して、建築設備等の製品不足や資材価格の高騰に悩まされている。
 その最後の解決策となるはずのスライドだが、会員企業の本音は「契約変更を申し出たことがない」「申し出にくい」と、ハードルが高いものとなっている。過去に例を見ない市場変動の中、スライドがあってしかるべきというスタンスで、やりやすい∞使いやすい℃d組みづくりが必要と考えている。
2022.6.20掲載

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