一般社団法人 熊本県設備設計事務所協会
会長 龍 義則氏
若い人材の発掘にチャレンジ
設備設計という業種が芽吹いてから半世紀以上が経過した。設備は建築に付帯する分野から、今では建設費の30〜40%を占めるほどその重要性と責任は高まっている。熊本県設備設計事務所協会の会長に就任した龍義則氏(アール設備企画社長)は「建築で創り出された優れた空間に、調和・融合しながら命を吹き込むという誇りある仕事。今後も役割は増す中、業界を継続していくには人材の積極的な導入が肝要だ」と強調する。
――会長就任にあたっての抱負を
新進気鋭の会員の集まりの中、次の世代へ継ぐ責を担うことになった。協会の成長は、会員の協力・支援が最も大事で、広く丁寧に対話を図って要望・提案を聞き、知恵をお借りしながら確かな歩みを進めていく。
現在、設備設計事務所19社(一種正会員)、メーカー・代理店約100社(二種正会員)、施工業者約30社(賛助会員)で構成する。その関係性は、会員区分を越え、良好で高い繋がりが求められる。同じ目線、同じ立場といった水平的思考で連携を深め、会員であることの意義が実感できる機会を増やし、更に会員も増強していきたい。
――設備設計業界の課題とその解決策は
様々な状況に応じて生じる「どうすれば?」という場面がすべて課題となるものだと認識しているが、任期中にせめて道筋だけでも付けたいのが人材の導入だ。
設備工事業界も含め関係業界は高齢化が進んでいる。我々は、人々が安全安心・文化的に生きる上で決して欠かせない分野。その責任においても設備の関連事業者が連携し、若い人材の発掘へチャレンジしなければならない。
目標に向かっては、いくつもの段階があるが、その第一歩が関係業界の皆さんが人材導入の思いを共有すること。そして勤務時間や休日の見直しなど労働環境の改善を進め、若者に対する仕事の魅力や誇りのアピールが重要と考えている。
――行政への要望はありますか
要望を申し上げる前に、まず我々業界は、業務の発注に際してその期待に添うべく遂行能力の向上を図ることが発注者からの信頼を高めるものになり、能力向上に日々努力しなければならない。
その上で、建築設備士が建築設備の設計や工事監理を行うことを法的に位置付けるため、「建築設備士」資格での登録制度の確立を国にお願いし、また自治体に対しては、設備を主体とした業務は設備設計の活用、いわゆる分離発注の推進などを望んでいる。
――会員へのメッセージを
協会発展への根幹には「和」を尊ぶ心が前提と考えている。自らの利はもちろん大事だが、併せて他の利も考えうるバランスのとれた思考を持つことで、豊かな協会となるだろう。
私自身、足りないものを自問した時に「謙虚」「誠実」「寛容」「潔く」「忍耐」を追求したいと気付いた。一度、自らを振り返ってもらえると、きっと協会も会員各社も良い方向に繋がるのではないだろうか。 |