熊本県地質調査業協会 理事長
岩隈一幸氏
新しい発想と行動力で貢献
熊本県地質調査業協会の理事長に岩隈一幸氏(双葉工務店社長)が就任した。大学では英米語を専攻し、広告代理店で営業職を務めた異色の経歴を持つ。「既成概念にとらわれず、新しい発想と行動力で業界の発展に貢献したい」と熱意を込めて語る新理事長に、今後の展望などを尋ねた。
――理事長就任にあたっての抱負を
地質業界を取り巻く環境は多様に変化し、既成概念では通用しない時代が来ている。この業界に入る前の経験もあり、業界の常識から離れた視点で物事を考えることができると思い、理事長職を引き受けることにした。海外との人脈もあるので、これまで培ったノウハウを活かし、業界が抱える問題に対して微力ながら貢献していきたい。
――地質調査業界の課題とその対策は
労働力不足につきる。少子高齢化による労働力不足は確定した近未来だ。現実的な話をすれば、時給1000円でボーリング助手を募集しても全く反応がない。大学で人気のない学部は廃止される傾向にあり、この業界を希望する日本の若者は絶望的に減少している。
対策の一つとして、海外で土木工学や地盤工学を専攻した外国人学生の確保に着目している。協会でも、受入体制を整備していく必要があり、就労手続きや就労許可、雇用・定着手段など、文化的背景も含めて勉強会を開いていきたい。もちろん、国内の人材確保が最優先なのは言うまでもない。
――自然災害が頻発しているが
阿蘇北部豪雨、熊本地震、球磨・芦北豪雨と自然災害が多く発生しているが、その中でも特に熊本地震を経験したことは、この業界の大きな転機になった。組織力と豊富な知識・人材、そして現場機動力が、我々協会の最大の売り。外部理事として大学の教授陣も在籍しており、今後熊本で起きる自然災害へも迅速に対応していく。
――今後の協会運営について
3DCAD、ドローン、ICTなどの新技術や、自然災害にしっかり対応していくこと。地質の世界は大きく変化しつつあり、我々の持つ地質の知識と掘削技術が益々重要な時代を迎えている。さらに、他業種との明確な差別化も必要で、地質調査は当協会以外にないという状況を作り出していけるよう努力していく。キーワードは、分かりやすさと、災害時の現場即応体制能力だ。協会員の意見を取り入れて、試行錯誤し検討していく。
100年に1度といわれるコロナ禍の元、様々な制限があり思うように活動できないが、コロナ騒動も永遠に続くわけではない。それまでに戦略を練って、準備していく必要があると思っている。 |