2014年8月に国土交通省と業界団体は、「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定、日本建設業連合会は、建設業で働く全ての女性の愛称を「けんせつ小町」と決め、女性が働きやすい環境整備に努めるなど、全国で女性活躍推進に向けた取り組みが本格化した。県内では、16年に「くまもと建麗会」が発足。職域・立場を超えた女性たちが入職支援や連携促進等に励んでおり、19年には熊本県産業資源循環協会と熊本県電気工事業工業組合が新たに女性部会を設立した。女性活躍推進への期待が高まる中、初代会長に就任した産業資源協の伊P知美里氏(明光)と電気工事業工組の辻まゆみ氏(迎田電設)に、活動方針や今後の展望を聞いた。



熊本県電気工事業工業組合
女性部会連合会長 辻 まゆみ氏
女性技術者増やし「男性に刺激与えたい」


―設立の背景は
 電気工事業界も人手不足は深刻化しており、女性の力が必要と言われています。問題解決に向け女性技術者を増やすとともに、将来の電気工事士の確保に繋がる活動ができないかと、親会などのアドバイスを受けながら、昨年3月に会員11人で設立しました。

―これまでの活動内容は
 住宅等を新築した時、九州電力に提出する電気使用申込書の記入研修会や、組合青年部と協力し小学生を対象とした親子LED工作教室のイベントなどを開催しました。
 まだまだ、手探りの状態が続いていますが、今は会員同士が悩みを打ち明けたり、愚痴を言い合える場所が出来たというだけでも意義があると感じています。

―課題など見えてきましたか
 女性の場合、家庭があると家事に費やす時間が多くなります。会員の多くが子育て中のため、平日は仕事が終わってからの家事、土日も子どもの部活や学校行事への参加など多忙を極めます。このため、急にメンバーが集まるというのは難しく、早めにスケジュールを調整する必要があります。子育てと仕事の両立、これは永遠のテーマでしょうね。

―活躍中の女性技術者については
 学生時代にスポーツをしていた女性が現場を希望するケースが多いようです。同年代の社員を雇用しても、男性はおとなしく、女性の方がハキハキしていると。現場は圧倒的に男性が多いので、女性としては逆に「負けられない」との思いが強いのではないでしようか。

―今後の目標や抱負など
 昨年10月、金沢市で開かれた全日本電気工事業工業組合連合会の全国大会に参加した時、電気工事をアピールし人手不足の解決に繋げるために、各都道府県が取り組んでいる事例を見聞きする機会に恵まれました。印象に残ったのが、電気工事を体験してもらった子ども達に、「未来の電気工事士」と書かれた資格者証を交付するというものでした。趣向を凝らした様々な報告があり、今後の活動を行う上でのヒントになったと思います。
 私自身、子育てもひと段落し、組合への恩返しがしたいとの思いから、会長職を引き受けました。器用に何でもできるタイプではないのですが、多くの方の協力を仰ぎながら女性技術者の数を増やし、男性にも「うかうかできない」と刺激を与えることで、業界全体の活性化に貢献できればと考えています。


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熊本県産業資源循環協会
女性部会長 伊P知 美里氏
入職促進へ「女性雇用のメリットを調査」


―設立の背景は
 全国産業資源循環連合会(全産連)関東地域協議会女性部会の二木玲子部会長からの提案がきっかけとなり、当協会の30周年の節目と併せて、記念事業の一環として昨年5月20日に立ち上げました。
 女性会員の相互交流、情報交換、研修などを行うとともに、女性の立場からの業界の発展や環境保全、熊本県の産業振興に寄与することを目的としています。

―部会の特徴や活動内容は
 入会資格を経営者だけに限定せず、各社の社員の方々にも気軽に参加してもらえるようにしており、19年11月現在で14社14人に参加して頂いています。今後、部会員と協力して、更なる会員数増加を目指します。
 活動内容として、現段階では、関東地域協議会女性部会が年に1度開催する「女性部会の集い」へ参加し、他県の女性部会との情報交換・連携強化に努めていく方針です。

―女性活躍に向けた課題と現状については
 女性専用トイレ等の環境整備や男性の職場というイメージの払拭、家庭(出産や育児)と仕事の両立など、取り組むべき課題は山積していますが、昨今、パッカー車やダンプ等の大型車両の女性ドライバーが増加するなどの嬉しい変化もあります。
 さらに、全産連が発行する協会紙「INDUST(いんだすと)」では、14年4月から、業界で活躍する女性たちが毎月の表紙を飾っており、女性活躍推進の流れは目覚ましいです。

―今後の目標や抱負など
 まずは当協会青年部と連携し、献血活動や小学生を対象にした「環境出前講座」をはじめとする地域貢献活動に協力することで、部会活動の活発化を図っていきます。
 部会独自の取り組みとしては、入職促進・女性活躍推進を図るため、先進的に女性雇用に取り組む企業を訪問し、企業における女性雇用のメリット等を調査していきたいと考えています。また、建設業協会やトラック協会の女性団体に参加している部会員をきっかけに、他団体との交流等も行っていく予定です。

―将来の担い手(女性)へのメッセージを
 業界で働く女性たちは「男性が優しく接してくれる」と口々に語っており、休暇や給料などについても、法制度の改正等の後押しもあり、確実に改善へと向かっています。
 産業廃棄物処理業は無くてはならない業界です。安心して入職を検討して頂ければ嬉しいです。
2020.1.2掲載

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