佐藤信秋参議院議員に聞く(下)
熊本の建設産業「新3K」に

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〈前号の続き〉
■新担い手3法

 議員立法の品確法が親法で、それに引っ張られて閣法の建設業法と入契法があるという構造にしている。今回の改正品確法は、「災害時の緊急対策の充実強化」が大きな柱の一つとなる。もう一つの柱が「納期の平準化」。工期を平準化すると言っても納期が3月31日だと平準化は出来ない。だから、「債務負担行為と繰越明許費の活用による翌年度にわたる工期設定」を発注者責務として明文化した。これまでは発注者共通の運用指針に盛り込んでいたのだが、県や市町村が予算繰越について議会に説明する上で、「運用指針では出来ない」と苦慮していた。今回、明確な根拠規定を整備することで、自治体の課題を解消し繰越を後押しする。
 改正建設業法については、5年前の改正品確法で、「公共工事の発注者は受注者の適正利潤を確保するのが責務」だと示していたが、今回、建設業法に同様の考え方を入れ込んだ。建設業法は民間も含めた全ての工事に関わるもの。公共工事も民間工事も適正な工期・工費で発注することで、現場で働く技術者・技能者の労働環境を改善する。

■国土強靭化基本計画
 国土強靱化は、二階俊博幹事長を先頭に脇雅史先生と私でひたすら取り組んできて、8年経った2013年に基本法が制定出来た。そして予算に初めて反映させたのが18年度の補正予算からとなる。19年度当初予算でいえば、通常の公共事業費とあわせ全体で15%程度の増額となった。だが、そこから先が問題となる。10年、15年の長期計画を作り、それをベースにそれぞれの地域計画をしっかりと作ってもらい、その目標に基づき全体総額を毎年2〜3%ずつ増やしながら実行していくことが大事だ。

■熊本地震と県内建設業界
 4月16日の本震後、直ぐに予備費の使用を決めた。政府がプッシュ型で支援する方針を示したので、全額国費で手当てするよう要請した。災害救助法を適用後に県知事からの具体的な申請を待つのが普通だが、それでは早期復旧への対応が遅くなる。
 次に取り組んだのが単価の変動調査だ。復興係数と復興歩掛が必要だと直ぐに感じたが、その前にまず単価の変動を調べるよう関係当局に要請した。東日本大震災時の経験から災害時には調査も工事も平時での契約が無理なのはわかっていたので、そうなる前に対処した。
 復興歩掛・復興係数は今も継続している。東日本大震災の時と異なり全額国費では無いため自治体に若干の負担もあるが、熊本県知事や県議会議員、市町村長等の理解があるから継続することが出来る。「間尺にあわない発注をしたらだめ」というのが、私がつくった品確法の趣旨だ。大事なのは建設企業に赤字が出ない状況になるまで続けること。赤字の責任の半分は私にあるという思いで取り組んでいる。
 熊本の建設産業界の皆さんには、地震後の復旧復興にしっかりと対応して頂き、国民の一人、国政に携わる一人として感謝の一言に尽きる。普段から地域の雇用を支え、しっかりとした仕事をして頂いていたのが、緊急に対応できた一番の要因だ。これからもそれが持続できるよう、私は力の限り取り組む。国土強靱化であり、公共事業全体であり、熊本の足腰を強くするために、そして熊本の建設産業こそが新3K(給料がいい、休日が取れる、希望や夢が持てる)の魅力ある職場となるよう、チーム熊本の一員として業界の皆さんと一緒に頑張っていく決意だ。
2019.7.1掲載

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