熊本県産業資源循環協会
熊本市支部長 八木衛氏
震災廃棄物も迅速対応 先駆的な災害協定が功を奏す

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 あの熊本地震からやがて3年。民家や公共施設、インフラの復旧に休みなく従事した建設業の人々が今も鮮明に浮かぶ。原状回復の初動作業から危険建造物の修理や解体撤去に至るまで、大規模災害が発生すれば膨大な量の廃棄物が生まれる。廃棄物の運搬と処理、埋立処分は普段あまり目にすることはないが、自然災害の多発するこの国では災害ゴミの適切な処分はますます重要な仕事と言える。熊本県産業資源循環協会の熊本市支部長に昨春から就任している八木衛氏(八木運送社長)に話を聞いた。



―近年頻発する災害を経験して感じていることは
 当協会は、10年ほど前から県内の各自治体と災害協定を締結している。全国でも先駆けた取り組みで、このことが功を奏し、ここ数年県内で発生した自然災害の復旧応援を円滑に行うことができていると思う。熊本地震は経験のない大災害だったが、協会が6支部体制を敷いていたため、地域ごとの処理が迅速かつ効率的にできたと考えている。
 ただ、いつどこで大災害が発生するか分からない昨今、無協定の県外、特に九州の各自治体からの協力要請にどう応えるのか、難問だ。災害協定には積算基準となる一定額が示されており、応援始動までにためらいはないが、無協定地域では無償のボランティア活動となる可能性が高く、心情的なものだけでは限界がある。同じく災害協定を結んでいる他の業界団体とも意見交換しながら全国規模で通用するルールづくりを考えなければ。

―熊本地震の影響もあり、今年、御社の植木処分場に新たな中間処理施設を開場したと伺った
 熊本地震発生後、弊社は熊本市内4か所の集積場から瓦屑を10dトラックで毎日60台、累計で4万dほど受け入れたが、あっと言う間に当時の堰堤が埋まり、急遽次の堰堤を造ることにした。しかし、元の中間処理施設がじきに埋没し使えなくなるため、昨年、市都計審を経て施設を建設、この1月から稼働している。新工場は選別、破砕、圧縮の3つの工程をひとつの工場にまとめ、建設廃棄物のワンストップ、フルサービスの処理を行う。また、廃石膏ボードのリサイクル、石綿含有廃棄物(廃スレート、ケイカル板、Pタイル)処分も積極的に取り組んでいます。

―現在、熊本市を中心に大規模工事が盛んですが、今後の経営方針で何かありますか
 運送業で言えば人手不足は最近の話ではない。完全週休2日制への移行も時流には逆らえないと捉えているが、どうしても契約運賃には影響する。そこで専門オペレーター付のユニック車を日単位ごとの契約で貸し出すことにチャレンジしたいと思っている。車輌不足や人手不足に困っている日々多忙な建設現場の一助になればと考えています。
2019.2.25掲載

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