熊本県建築士事務所協会
会長 南孝雄氏
震災復興と若手の育成・確保を
5月の役員改選で9代目の会長に就任した南孝雄氏(産紘設計社長)。「6期12年務めた副会長としての経験を最大限に生かしながら、協会の益々の発展に向け全力を尽くしたい」と抱負を語る。熊本地震からの早期復旧・復興のための震災関連業務も引き続き積極的に取り組んでいく姿勢を明確にする。南会長に協会運営や課題などを聞いた。
―会長就任後、3カ月が経過しました
12年間、副会長を歴任し協会運営の流れは理解していたが、全てにおいて責任を伴う立場となり、重圧も感じている。会員事務所がよりよい方向に進めるよう様々な意見を集約し、行政機関等への要望活動などを行っていきたい。
―熊本地震からの復旧・復興にも協会の力が欠かせません
地震発生から2年4カ月以上が経過するが、今なお、多くの被災者の方が応急仮設住宅等に入居されている。住まいの再建を支援するため、これまで実施してきた無料相談会やくまもと型復興住宅の提案などに加え、職人さんが効率よく作業できるようなネットワークを構築し、よりローコストの住宅が提供できればと考えている。
―設計・監理業界や協会が抱える課題は
最大の課題は、若手建築士の育成・確保だ。賃金や労働時間の短縮などを含め、若者にとって魅力ある業界にしていく必要がある。このため、各発注機関に対し、国土交通大臣が定めた業務報酬基準(告示第15号・同第670号)に準拠した報酬額での契約を強く要望している。
さらに、建築士資格制度改善のため、設計三会(日本建築士事務所協会連合会、日本建築士会連合会、日本建築家協会)が共同で、資格取得に係る実務要件の合理化などを自由民主党建築設計議員連盟に提案した。できるだけ早く改正を進めてほしいと願っている。
協会に関して言えば、会員の増強が課題だ。特に若い経営者の方には、仲間意識の感覚で気軽に加入して頂きたい。我々としても、法改正などを含めた情報の提供や勉強会・研修会の開催など会員のメリットをアピールしていく。
―日本建築士事務所協会連合会の役員にも就任されたそうですね
常任理事を拝命し、広報・渉外委員会の委員長、会誌・編集専門委員会の担当理事、新設される災害対策特別委員会の委員も務めることになった。上京する機会が増えるので、熊本だけでなく九州ブロックを代表するつもりで地方の現状や課題なども訴えていければと思う。
―3年後の10月には熊本市で建築士事務所の全国大会が開催されます
約1800人の参加が見込まれる大規模なもので、近く協会内に準備委員会を設立し対応していく。震災から立ち直ってきた熊本の姿と、地震を教訓とした対応策などを全国の会員の方に見て、学んで頂ける大会にしたい。 |