国土交通省熊本河川国道事務所 
所長 鈴木学氏
期待に応える事業を推進

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 九州の赴任は初めて。7月の所長着任後、所管する熊本県内の事業計画を俯瞰して感じたのは交通ネットワークの脆弱さだった。特に東西軸の幹線道路整備は大きな課題とし、「現在進めている事業だけなく、その後の計画策定も早期にしっかり取り組みたい」と強調。河川の防災・減災対策や熊本地震からの復旧復興も着実に進め、地域の期待に応えることを抱負に掲げる。



―道路事業の進め方に対する考えは
 県内を南北に貫く九州自動車道を中心に道路網を見ると、横軸の交通ネットワークがまだ十分ではない。九州横断道延岡線や中九州横断道路などをしっかり進めてネットワークを繋げることが一番大事だ。実施中の事業はもちろん、未事業化区間についても新規採択に向けてチャレンジしていきたい。また熊本都市間の交通渋滞も課題と捉えており、解決に向け自治体との連携が不可欠だと考えている。

―近年多発する豪雨災害を踏まえ、河川の更なる防災・減災対策も重要となっています
 先月には西日本豪雨災害が発生したが、ハードだけでは耐えられないものに対し、ソフト面でどのように対応していくのかがカギとなる。堤防などが整い安全度が高まると、流域住民は災害に対する関心が薄れる恐れがある。河川の氾濫はどこでも起きる可能性があり、住民に理解してもらうのが我々の役割だ。

―具体的な取り組みは
 緑川では行政やNPO法人等が一体となった緑川流域会議が今年発足し、また、白川も含めて流域自治体らと水防災意識社会再構築協議会を設置している。例えば「緑川フェスタ」など河川事業の啓発活動等を通して流域住民や自治体とのコミュニケーションを図り、流域全体で防災意識を高めていく努力をしたい。住民が水害の危険性を知り、河川空間への愛着や興味を持てば、「自分の命を守る」という防災に対する主体的な行動へと意識が変わるのではないかと期待している。

―地元建設業へのメッセージを
 熊本地震から2年4カ月が経過し、被災地全体の復旧復興が着実に進んでいるのは、地元業者の尽力があるからこそと確信している。建設業界は他産業に比べて生産性が高いとは言い難い。ICTなどの環境を整備し、また、若者が業界に魅力をもってもらえるよう週休2日制導入などの改革をしっかり進め、建設業の健全な発展へ連携していく考えだ。

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【略歴】鈴木学(すずき・まなぶ)。東京工業大学大学院修了後、1995(平成7)年に建設省入省。中部地方整備局道路部道路調査官、三重県県土整備部次長(道路整備担当)などを経て、2017(平成29)年4月から国土交通省総合政策局公共事業企画調整課事業総括調整官を務めた。東京都出身。1970(昭和45)年生まれ。
2018.8.23掲載

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