全国さく井協会九州支部
岩隈 一幸支部長
九州全域に「防災用井戸」推進

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 全国さく井協会九州支部の第41回通常総会が5月14日、熊本市で開かれ、岩隈一幸氏(双葉工務店代表取締役)が新支部長に就任した。九州支部には熊本、福岡、長崎、宮崎、鹿児島・沖縄から26社が入会。今年度も、「さく井協会」という知名度を広め、新規会員入会による支部組織拡充を目指す。岩隈支部長に運営に関する意気込みを聞いてみた。




――新支部長に就任された抱負は
 さく井業というものが世間になかなか知ってもらえない中、新しく防災用井戸≠フ設置を推進していこうと九州全域の各自治体を駆け回っている。災害時に不足する水を確保する手段の一つが防災用井戸であり、設置目的や管理状況等によって、生活雑用水等に用いられる。
 関東、関西地区に何千カ所と設置されているが、残念ながら九州内に当協会員が施工した手押し型の防災井戸は、熊本県甲佐町に5カ所と、会員の千代田工業(熊本市尾ノ上)敷地内に1カ所あるだけで、九州全域に広めていくことが目標と考えている。

――防災井戸に着目された理由は
 よく、勘違いされるのが、井戸というと飲料水だと思われがちだが実際、震災後、水が飲めなくなって亡くなった人は、ほとんどいないのが現状だ。それでは何が原因だったかというと、それは「トイレ」にあったそうだ。
 これまでの例を見てみると、大地震が起きた時、まず最初に電源が喪失し、断水状態になる。水が出ない中、用を足し、その上にまた用を足すことが続くと当然、許容量を超えて溢れかえり、あまりの汚さに被災者のほとんどがトイレを我慢し水分をとらなくなった。その結果、血栓症で亡くなった人が、たくさんいたというデータがある。中越地震で51人中35人、阪神淡路大震災では6434人中922人と、3割の人が血管を詰まらせる病気が原因だった。
 東北の友人の話だが、東日本大震災後、ライフラインが遮断された時、何が一番役に立ったかというと、雑用水が簡単に確保できる昔ながらの手押しポンプだったと聞いた。このような理由から、協会では飲料水ではなく、生活雑用水のための水源確保に努めることとした。

――この他、新たな活動として考えられていることは
 ニューヨークのSTI社が発明した「アクアフリード工法」を導入し、井戸のメンテナンス事業に取り組む考えでいる。井戸を掘って年数が経つと、スクリーンという部分にバクテリアやカルシウム、鉄分が付着して目詰まりしてしまう。
 従来は、ブラッシングや薬品洗浄していたが、この工法は、炭酸ガスでスクリーンと帯水層の目詰まりをきれいに洗い流してくれる。これが、かなり効果的で、協会では、来年をめどに、熊本でデモンストレーションを行い、工法を九州一円に広め、組織力の強化につなげたいと考えている。
2015.6.25掲載

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