熊本県地質調査業協会
工藤 伸理事長
地元の調査は地元の企業に
5月の通常総会で熊本県地質調査業協会の新理事長に決まった工藤伸氏(アバンス代表取締役)。就任の挨拶では「地元の地盤は地元の企業が一番詳しい。このことを広くアピールしていきたい」と力を込めた。技術者集団の舵取りを託された工藤理事長に、協会の運営方針や将来像を聞いた。
――理事長就任にあたっての抱負を
基本的にはこれまでの流れを引き継ぎ、確実な協会運営を進める。一方で、品確法改正や後継者問題、若年者不足などの課題にも、きちんと対応していかなければならない。時代は常に変化しているので、経営者もそれに応じて意識を変えていく必要がある。今年度から取り組む経営者研修のなかで、しっかり話し合っていきたい。
――事業拡大に向けての取り組みは
「協会員の活用」と「分離発注」の二つを、発注機関に強く働きかける。地盤は、そこにいる地元業者が一番分かっている。協会の良さをしっかりアピールし、優先的な活用を訴えていく。発注形態でいえば、地質調査は分離発注が基本。コンサルに一括されると独立性がなく下請になってしまい、調査が軽んじられるのではと危惧する。当然、協会として自ら勉強会や情報収集を行い、技術の研鑽に努めていくことが重要だ。先月、国交省熊本が簡易公募型で公告した道路の地質調査業務で、『県内企業』という参加資格要件が付き、これまでの陳情が実を結んだ。こういった活動を続け、事業量を増やしていきたい。
――会員の技術力向上について
我々は現場のことを良く知っておかないといけない。答えは現場にあるので、「技術の伝承」と「地質巡検」に力を入れて取り組みたい。技術の伝承は、露頭(地層が露出している場所)や実際の調査・工事現場などを見学し、夜に座学を開く。ベテランが若手に知識や技術を伝える狙いがあり、今年度は発注者の参加も検討しているところだ。地質巡検は、自分たちが調査した現場などを見学し、調査結果が実際にどう生かされているか、困ったことはなかったかなどを聞き、次に繋げようという取り組み。公共事業が維持管理にシフトする中で、全地連の道路防災点検研修も重要になってくると思う。道路の点検などは測量設計業に発注されがちだが、構造物だけでなく斜面などを確認する場合は、地質・土質に詳しい業種の仕事だ。
――協会の将来像を
大きな目標は、調査の入り口から出口まで我々がタッチするということ。単に調査するだけでなく、設計や施工、維持・管理の段階に至るまで、トータルで対応できるような業界を目指したい。 |