就任インタビュー
熊本県建設業協会会長 橋口光コ氏
「会員の思いをストレートに反映」
(社)熊本県建設業協会の新会長に橋口光コ氏が就任。政権交代や公共事業費縮減、熊本市の政令市移行、公益法人制度改革―など課題が山積する中での難しい舵取りを託された。業界紙とのインタビューに応じた橋口会長は、協会の運営方針について「会員の思いをストレートに反映させる組織づくりに努める」と話すとともに、建設産業の必要性・重要性を積極的にアピールしていく姿勢を示した。
――協会運営にあたっての抱負を。
公共事業費が縮減するなかで、事業量を増やすことはとても難しいが、このような時だからこそ協会員が団結することが大切だと思う。各企業が生き残っていけるよう、みんなで知恵を出し合い、意思を一つにして行動すれば必ず道が開けるのでは。
そのために、まずは委員会活動に力を入れる。理事会および支部・部会長会の席に各委員長も参加してもらい、忌憚のない意見や要望を述べてもらう。それを執行部がとりまとめて、発注者や国会議員などに伝えていく。会員の思いがストレートに反映される組織づくりに努めたい。
――建設業が国民に正しく理解されていない面もありますが、社会貢献についての考えは。
建設業の必要性についても積極的に訴えていきたい。例えば、宮崎県の口蹄疫問題では地元の建設業者が不眠不休で協力しているし、県境付近では熊本県の支部でも行政と対応を協議していると聞いている。にもかかわらず、表だって報道されていない。
我々は日常から土嚢備蓄や河川パトロールなど、目に見えないところで災害時に備えている。国民の安全安心を基盤で支えているのが建設業であることを訴えていく必要がある。
――緊急経済対策等もありましたが業界の現状と打開策は。
昨年の2度の補正予算と緊急保証制度でどうにか食いつないでいるというのが現状。しかし、今年度は仕事量が激減し、加えて融資の返済時期が12月頃からはじまる。このままでは、年末から年度末にかけて相当の業者が倒産廃業に追い込まれるのではないかと予想している。今までボディーブローだったのが、いきなりワンパンチダウンになるのでは。
国、県などの発注機関に対しては、建設業従事者が人並みに生活できるような制度づくりを望みたい。予定価格に上限拘束性があるから、落札率が下がり単価も予定価格も下がっていくデフレスパイラル状態だ。また新分野進出といわれているが、どの産業も不況の中にあって成功するのはほんの一握りにすぎない。入札方式や総合評価についてもいろんな意見があるが、我々は受ける立場だから対応していくしかない。
――熊本市の政令指定都市移行、法人改革についてはどのような対応を。
政令市になると、県と熊本市の予算規模が、当初は6対4、3〜4年後には5対5ぐらいになると聞いており、熊本市内と市外とで格差が生じてくると考えている。だが、県と市は車の両輪。同じスピード・力で動かなければならない。建設産業に対する政策も、同じでなければ歪(いびつ)なものになってしまう。協会としても、先日、政令指定都市研究特別委員会を立ち上げたところ。半年ぐらいかけて、方向性を作り上げていきたい。
法人改革をどうもっていくかも大きな問題。12支部2部会あり、それぞれの考え方の調整が必要だが、共益が目的の団体だから、会員サービスの重視を考えたら一般社団化が相応しいのではないか。今年度中に方向性を決め、来年度の総会で決議したい。
――新規入職者が少なく、技術者の高齢化が進んでいます。
ほとんどを公共事業に頼っている我々には、自ら仕事を作りだすことが出来ないが、このままでは技術の継承も出来なくなってしまう。雇用の確保、経済の下支えという側面からも、与野党を問わず建設産業の重要性を、正面から伝えアピールしていきたい。 |