熊本県瓦工業組合
  理事長 大矢野種康氏
 組合存続をかけ「戦略」打ち出す
 使命は利益追求と社会貢献


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 「半世紀あまり続く組合もこのままでは存続なく、消滅してしまうのは明らか。今こそ組合員全員が結束・協力し改めなければ」。先の総会で新理事長に選出された大矢野種康氏(熊北工業椛纒\取締役・菊池市)は、就任後すぐに『生き残り戦略』と銘打った活動方針を作成し、組合存続をかけた事業に乗り出している。8日には、組合初という熊本城内公衆トイレの瓦修理等ボランティアを実施し、公の場に存在意義を知らしめた。自らを改革派≠ニ分析する大矢野理事長。今後の活動展開などを聞いてみた。



――新たに掲げた「生き残り戦略」とは
 かつて200社以上あった組合員も長引く景気低迷に現在は39社。今、何らかの手を打たなければ、組合員の会社は潰れ、組合自体も消滅してまう。そこで打ち出したのが「組合員の増強」「組合員の販路拡大」「組合の広報活動」の三本柱からなる戦略だ。
 一つ目の「組合員の増強」は、現在、他県に比べ割高と言われる組合費の将来的な減額も睨んでいるもので、地区会の活発な開催と賛助会員の協力の二つの手段で取り組んでいく。
 地区会とは、組合員の企業が所在する地区毎に不定期で開催する連絡会だが、今後は会を頻繁に開き、この場に員外者を誘い入れ、技術・各種資格取得講習会や経営勉強会への参加、また共同仕入れによる安価な瓦や副資材の利用など組合加入メリットを伝えていきたい。
 当然、員外者とのわだかまりがあると思うが、組合員数が少なければ、組合費の削減、ましてや存続も到底無理なこと。胸襟を開くべきところは開いて、同業者どおしが良くなるようしなければならない。賛助会員からの加入呼びかけも大きな力となるので、今後、協力をお願いする。

――「販路拡大」への具体的な秘策は
 まずは一般顧客からの受注拡大を目的に、大手ホームセンター等の駐車場の一画を県下各地区で提供してもらって、その場で瓦の展示や施工、技術実演、雨漏り相談コーナーの設置を行う。
 ホームセンターは、不特定多数が訪れ、組合員の地元ともなれば、顔見知りとも会う可能性があり、一般顧客層からの受注を狙える最高の場所。一企業として営業するのも大切だが、組合の肩書きをもって受注努力をすれば、員外者との差別化もでき、販路拡大につながる。近く各ホームセンターの本部に足を運び、敷地内の提供を依頼する予定だ。

――広報活動の初弾事業としてボランティア活動を実施したが今後は、どのような組合PRを
 県内には後世に残し伝えなければならない文化財遺産が多くある。しかし、風化が進み消滅寸前の遺産も少なくない。従って、各地の遺産に屋根をかけ、無償で瓦を葺くという文化財の保護に取り組む。これには、大工、左官などの他業種とも連携し、各専門工事を目指す者の実践教育の場となるような試みも検討している。
 また、文化財に限らず、民間世帯の雨漏り無償修理も行う予定だ。例えば、高齢者の世帯、障害者の世帯、ひとり親の世帯などの条件を設定した上で、市町村役場などを通して修理の要望募集を行ってもらう。組合の社会的責任を果たせるほか、公的機関と県民に組合の必要性を感じて頂ける絶好のPRになる。

――最後に組合員にメッセージを
 企業の使命は利益追求と社会貢献。今回打ち出した戦略に最初から「無理だ」「絶対出来ない」というのは一つもないはず。何もしなければ、何も手に入らない。来年の組合創立50周年を盛大に迎えるにも今全員で知恵を出し、活発な意見と参加協力をお願いしたい。
2009.08.20掲載

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