熊本県職業能力開発協会
専務理事 奥村 良博氏
技能祭の毎年開催を検討
ものづくり体験機会増やし、若者に関心を
熊本県職業能力開発協会は、職業能力開発促進法に基づき、昭和54年4月に設立。働く人々の職業能力が社会的に評価・尊重され、職業生活の安定向上に資するよう職業能力の開発および向上を目指し、熊本県と密接な連携のもと、各種業務を実施している。
技能者の人材確保・育成が喫緊の課題と言われている中、技能士の資格を重んずる社会的評価の確立などを目的に同協会が実施する技能推進事業等について、6月に専務理事に就任した奥村良博氏に聞いてみた。
――協会の主な業務は。
当協会では、働く人たちの職業能力開発を支援して人材育成するため、様々な業務を行っているが、特に国家検定である技能検定試験の実施、ものづくり技能の振興・継承支援が主要な仕事となる。
――技能検定の受験者数の推移は。
受験者は年々増加傾向にあり、特に高校生の三級受験者が増加している。ここ5〜6年間で千人程度増え、平成20年度は2923人と初めて2900人台を達成した。これらとは別に外国人の研修者を対象にした基礎級の受験者も急増していたが、昨年来の景気後退で、今年は減少するとみている。
――受験に際しての実務経験年数短縮の影響は。
平成16年度に実務経験年数の要件が緩和され、受験者がかなり増加した。特に高校生の受験が可能になったのは、いい意味で影響が大きかった。高校の時に国家資格を取得できることは、本人の自信となるだけでなく、技能者への道を歩むきっかけにもなっている。また、就職先でも評価をいただいている。
――人材確保・育成の施策等は。
将来の産業界を担う若年技能士を育成するため、事業主が実施している認定職業訓練への支援、23歳以下の技能者を対象にした技能五輪大会への参加選手の育成、小中学生を対象にしたものづくり体験教室の実施、高校生を対象にした技能検定受験前の準備として高度熟練技能者による実技指導など、各種施策を展開している。
――技能五輪大会等への意気込みは。
昨年度の技能五輪全国大会には、14人の選手が出場した。左官職種で金賞を受賞でき、熊本県の技能レベルの高さを全国にアピールすることができた。
今年度は茨城県で開催されるが、大会にはできるだけ多くの選手を派遣できるよう努めていきたい。また、選手には入賞を目指してベストを尽くすことを期待している。
――今年度の抱負は。
5月に開催された通常総会の役員改選で、会長に前副知事の安田氏、副会長に従前の2氏に加えて、新たに製造部門から櫻井精技鰍フ櫻井一郎氏に就任いただいた。それぞれ幅広い観点から協会運営についてご指導いただくことになり、職員一同、協会の事業充実に向け心機一転頑張っていきたい。
具体的には、これから検討することになるが、隔年ごとに開催してきた技能祭を毎年開催し、技能士の存在等を積極的にアピールすることで、技能振興、後継者育成等につなげていきたい。また、若者がものづくりに関心を向けるよう、できるだけ身近でものづくりが体験できるような機会を増やすなど工夫をしていきたい。 |