生コン協組連が瑕疵保証責任補償制度スタート
品質保証で商品差別化、社会的信用へ
熊本県生コンクリート協同組合連合会会長  味岡和國氏


味岡和國氏

 熊本県生コンクリート協同組合連合会(味岡和國会長)は、全国でもめずらしい「生コン瑕疵保証責任補償制度」をこのほどスタートさせた。生コンに問題があった場合の責任を明確化したもので、会員の更なる品質管理の徹底や社会的信用につなげる狙い。この4月の出荷分より適用する。
 生コン業界は、公共工事の削減と組合未加入企業の乱立で、これまでにない過当競争を強いられている現状となっている。こうした状況を踏まえ、組合員の巻き返しを図る切り札となる「瑕疵保証責任補償制度」。味岡会長に制度の中身を聞いてみた。

――この制度を始めたいきさつは
 熊本ではバブルがはじけた余波が平成12〜13年頃出始め、生コンの需要が減ってきた。当時は設計単価1万2000円/立方bに対し、実勢単価が5600円/立方b、売値で4200円/立方bまで値を下げる過当競争が続いていた。周りから「生コン業界は大丈夫か」との声が囁かれ始めたのもその頃。17年1月からは、熊本で共販が再開され、適正価格の確保の観点から価格値戻しに取り組んだ結果、同8月には設計単価が6000円/立方bから8000円/立方bとやや改訂されてはきている。
 しかし、最近、建築物の耐震強度偽装問題が表面化し、鉄筋や生コンへの関心が高まってきた。これまで生コンの品質には絶対の自信を持ってやってきたが、更なる品質保証を裏付ける意味でも制度への取り組みが必要となった。
――組合内ではどのような反応が
 補償制度をスタートさせるには、県下一斉にというのが私の思いだった。昨年12月の理事会で一応の方向性を示し、翌1月の各地区協同組合で意向を説明してもらった。最終的には3月の工業組合の合同理事会で決議した。組合員からは「(組合未加入企業との)この競争の時になぜ単価をつり上げるようなことを」という声もあったが、今だからこそ商品の差別化を図ることの重要性を訴えた。結果的に解ってもらえて良かったと思っている。
――商品の差別化という意味では、更なる品質確保で発注者(施主)にも非常にメリットがあると思うが
 公共工事は『品質管理監査』を受けたものでないと使用できないので、我々組合員の商品を使って頂いてる。ただ、民間工事はそういった決まりはなく、ほとんどが組合未加入企業へ流れている。差別化の狙いは、そういった民間工事についても取り込もうというものだ。耐震偽装問題でも話題になったように「品質管理をちゃんとやらないと、大問題になりますよ」と言うことを発注者に解ってもらいたい。発注者から「保険に入った生コンを使って欲しい」と言われることを願っている。
――結果的には、組合未加入企業の撃退になるのか
 そうではない。我々の思いはあくまでも組合に加入して欲しい、と言うことだ。他県では締め出しているらしいが、熊本では業界が一丸となって共販体制を作って行くことを目指している。
2006.06.12掲載

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