上天草市建設部   水田 優 部長


 天草郡旧4町(大矢野、松島、姫戸、龍ヶ岳)が合併し、上天草市が誕生して早半年。大矢野、松島の2庁舎体制でスタートしたユニークな取り組みで市民の合意を取りつけると共に、行政経費の削減・合理化に対応している。しかし、国の三位一体改革で法定協議会設置当時と合併後の今では自治体運営に大きな変化が訪れている。特に財政面で厳しい取り組みが迫られており、特例債のアドバンテージを受ける新市にとっても例外ではない。建設業を地域経済の基幹産業と位置づける上天草市建設部の水田優部長。これまでの取り組みや現状を聞いてみた。


−新市の現状についてお聞かせ下さい

 法定協議会を設置した2年前に比べ、交付税カットなどの現実が表面化し、財政面での大幅な見直しが余儀なくされている。このため当初、10カ年で300億円の普通建設費を見込んでいたが、特例債は別枠ではなく使途も限られるので、下方修正も視野に入れた取り組みも必要。ただ、合併がなければ予算が組めなかった町もあったのでは。今後、17年度予算を組んでみて、合併によるスケールメリットを発揮し、新市の計画を方向づけたい。財政計画と合わせ、長期ビジョンを示すことも重要だ。

−合併により様々な課題が出ているようだが
 法定協議会での合意形成が一部不十分であったことは否めない。財政面、サービス面等、4町が持つそれぞれの負の遺産が浮き彫りになってきている。しかし、そればかりに拘っていると前に進めない。市民への説明を十分に果たし、新たな合意を取りつけなければならない。昭和の右肩上がりの経済成長期での合併と違い、今回はむしろ経済が停滞、衰退している状況。合理化に伴う〃痛み〃を市民にどこまで受け入れてもらえるかがカギとなっている。

−2庁舎体制のスタートや課題の一つとして松島庁舎の問題もあるが
 18人からなる松島庁舎建設検討委員会で協議を進めている。これまでの意見では「合併協定を遵守し建設を推進」、「必要最小限の庁舎で合理化に対応」、「将来の1庁舎を見込んで検討」−の3案に集約される。将来的には、業務の外部委託なども考えられ、支所の役割も減少が予想される。合併効果が表れるような結論を出して頂きたいと思っている。

−合併後の建設業への対応がスピーディーだったと
 建設業は地域経済を支える役割が大きい。法定協議会設置当時から、地場業者の育成を考えて入札の形態等を協議してきた。今が最善だとは思っていないが、透明性、公平性を重視した執行体制が布かれていると自負している。一部、過当競争となっている部分もあるが、調査機関をフル活用し、適切に対応している。市内の業者には市外に出ても太刀打ちできるような技術力、経営力を身につけてもらいたい。我々には行政としてその役目や責任があると思っている。

−今後、合併を控える自治体にアドバイスを
 先ず行政サービスの統一を決めておくこと。決まらなくても具体案を示しておかなければならない。職員の配置を考慮した組織の問題は重要だし、職員の意識改革も必要だ。リーダーシップが取れる首長や職員も求められる。合併はバラ色ではなく、先を見越すことが大切だと思っている。
2004.10.14掲載

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