2023年春の叙勲で瑞宝単光章を受章
こざき 仕上工事部次長 坂本一美氏
会社や業界に恩返しを


 20年前に札幌市で行われた日本塗装工業会主催の第19回全国建築塗装技能競技大会で優勝、日本一に輝いた職人が、今度は瑞宝単光章の栄に浴した。「本当に驚きました。受章できるなんて思ってもいませんでしたから」。謙遜しながら、はにかむ姿は当時と変わらない。「会社をはじめ、業界団体など周りの方々の後押しのお陰です」と感謝の言葉を繰り返す。
 「ただペンキを塗るだけの簡単な仕事だろう」と勝手に思い込み、塗装の道に足を踏み入れてから42年。当初の浅はかな考えとは裏腹に、「現実は奥が深く、極めるのは非常に困難」という塗装の壁に何度も何度も弾き返されながら腕を磨いてきた。
現場での作業は、コストや工期、職人の配置など複雑な要因が絡み合う。日本一の技を持ってしても「これまで100%満足できた現場はない」と振り返るが、「与えられた条件の中で、お客さんに満足して頂けるよう最善を尽くすのが我々の仕事」と語る姿に職人としての矜持が垣間見える。
 塗装の魅力を「汚いものを綺麗にし、長持ちさせること」だと表現する。次世代を担う若手職人には「難しい分、やりがいもある。一つひとつの技術を習得して、レベルアップしていけば、必ず面白味が増してくるはず」とアドバイスを送る。
 長男と長女、二人の子供も父の背中を追うように、こざきに入社。「決して勧めた訳ではない」と首を振るが、満更でもなさそう。長女は結婚を機に退職したというが、長男は父親の指導のもと、技能の習得に励んでいる。
 今後の目標は「健康に気を付け、会社や業界に恩返しをすること」。最近、「ガタが出始め、不安なんですが」と腰や膝をさすりながら表情を緩める。熊本市西区在住の57歳。
2023.6.19掲載

戻る

  All right reserved for west japan construction news Co.,Ltd    renewed on 2004/4/8 Y.アクセス昨日 T.アクセス本日