2021年国土交通大臣表彰(建設事業関係功労)を受賞
田中技建塗装 代表取締役 田中一成氏
若手育成し技能を伝承
「多くの先輩方が受賞されるのを目の当たりにしてきたが、まさか自分が頂けるとは。正直、驚きました」。穏やかな表情を浮かべながら喜びを語る。
大学卒業後、父親が創業した会社に入った。子どもの頃から現場に慣れ親しみ、塗装で建物が綺麗になる姿に触れた。「いつか自分でも塗ってみたい」と憧れを抱き、高校生の時には、既に家業を継ぐことを決めていた。
「塗料には、建物の構造や規模、デザイン、周りの景観などに応じて、似合う種類や色彩がある」と力を込める。最近はネット等で様々な情報を調べ、高価な塗料での施工を希望する客も増えてきたそうだが、「たとえ安価であっても、その建物に一番調和した塗料を提案する。無理に高いものは勧めない」。この姿勢を貫きながら、顧客との信頼関係を築き上げてきた。「今後はリフォームを含め、住まい全般に関して迅速な対応ができる会社にしていきたい」。
所属する熊本県塗装防水仕上業協同組合では、10年程前に青年部会の部会長を務め、現在は会計理事として組合運営の一翼を担う。「我々も引退する時が来る。それまでに次世代を担う若手を育成し、技能を伝承しなければ」と熊本県建設仕上職業訓練校では、講師として生徒たちの指導に当たる。業界をアピールするため、落書き消しや公園施設の塗り替え、被災地での清掃など社会貢献活動にも、会員一丸となり積極的に取り組む。
趣味はゴルフ。「70台のスコアを出せば、ご馳走してやる」という友人からの約束を実現してもらうためクラブを握る。1歳3カ月になる初孫と過ごす時間も楽しみだ。「可愛くてしょうがない」。熊本市東区在住。1965年(昭和40年)生まれ、18日に56歳を迎えた。 |