2019年秋の叙勲で瑞宝単光章を受賞
上益城建設高等職業訓練校・校長 赤松章氏
半世紀にわたり探求した技能を若者に


 2004年から15年間、御船町の上益城建設高等職業訓練校で校長を務める。「受章は身に余る光栄。これまで訓練生を育ててきたことが認められ、支えてくださった周りの方々に感謝したい」と笑みを浮かべる。
 1967年県立矢部高校を卒業と同時に大工の道に。地元の建設会社で修業を積み、80年に赤松建設として独立。2004年に先代校長に請われて校長に就任した。並行して03年から4年間山都町建築組合長、14年から2年間熊本県建築士会副会長などを歴任。これまでに木造だけでなく鉄骨造や鉄筋コンクリート造など数多くの建築に携わるとともに訓練生の指導に全力を尽くしてきた。
 16年の熊本地震では旧銀行を利用していた訓練校校舎が全壊。それでも校舎道向かいの家屋2階部分を借りて授業を継続し、「私自身も被災者だったが、先輩たちから受け継いだ大切な学校だからこのままではいけない」と一念発起。仮校舎の手配や寄付金集めなど校舎再建に奔走し、17年5月には待望の新校舎を竣工させた。
 校長就任当時は在校生も5人ほどと少なかった。状況打開のため高校やハウスメーカー、建設会社に訓練校の意義を説いて廻ると、入学者数も徐々に増えるようになった。現在、職業訓練は火曜から木曜の週3回で、1〜3年生の合計24人が在校する。高校卒の訓練生が中心だが、中には大卒者もおり、女性の訓練生も増えているという。
 業界は人手不足で求人が多い。そんな中で大工を志し入校した訓練生には「3・4年は辛抱して頑張れ。将来は絶対よくなるぞ。今我慢できないならどこに行っても一緒だぞ」とはっぱをかけている。半世紀にわたって自身が探求した大工技能を、若者に如何に伝えるか―。職業訓練に対する意気込みはまだまだ燃えている。
 「外国暮らしの孫が遊びに来るのが楽しみ」という。山都町に奥さんと2人暮らし。70歳。
2019.12.2掲載

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