2018年秋の褒章で黄綬褒章を受章
中央土木コンサルタント会長 川元 久幸氏
知識と技術活かし社会貢献を


 前年の国土交通大臣表彰に続く栄誉だが、本人は「熊本県地質調査業協会の皆さんが、災害対応や地域貢献などに頑張ってきたから頂けたもの。私はあくまでも、その代表に過ぎない」と控えめだ。
 1972年、大林組に入社。一貫して地質調査の重要な要素である土質試験業務に従事し、九州縦貫道建設では嘉島町付近の軟弱地盤調査などを担った。業務を通して地質調査業が持つ社会的役割の大きさを痛感し、78年に中央土木コンサルタントを設立する。
 当時、重要構造物の地質調査業務の入札に指名されるのは県外の大手企業が多かった。「県外に負けない技術力を身につけよう」と、有志で勉強会を重ねた。発注者へも、地元の地質構造を熟知している県内企業に発注するようアピール。96年には、熊本天草幹線松島有料道路の調査を地元企業で初めて受注し、大手と変わらない技術力の高さを証明してみせた。現在では大半の業務が県内企業に発注されている。
 2007年から4年間と、13年から2年間、県地質調査業協会の理事長を務めた。「仕事を受けるだけでなく、我々の知識と技術を活かして社会に貢献したい」と、在任中に県・熊本市と相次ぎ「大規模災害時支援協定」を締結。12年の九州北部豪雨、16年の熊本地震では、いち早く災害調査団を結成し、関係機関との折衝や人員配置に指揮をとった。
 07年から4年間は九州地質調査業協会の副理事長として協会運営にあたる。その頃、九州での地質調査技士更新講習の開催場所は福岡県のみだった。「遠方からの受講者もいるし、日程が合わないと大阪や東京まで足を運ばないといけない」と問題提起。受講者のため九州内で日程が異なる2会場開催を提案し、熊本開催を実現させた。次代を担う技術者の確保・育成を気にかける。
 「毎週やってくる二人の孫と遊ぶのが一番の楽しみ」と目を細める。熊本市東区在住、69歳。
2019.1.28掲載

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