2018年国土交通大臣表彰(建設事業関係功労)を受賞
いとう工業代表取締役 伊藤 英治氏
塗装の重要性を伝えたい


「私は裏方に徹するタイプ。本当に賞を頂いてよかったのかと」。面映ゆげな表情を浮かべ、控えめに話す姿に実直な人柄が伺える。
 実家の塗装業を継いだ形だが、高校卒業時には、その気もなく海上自衛隊に入隊。「船酔いで食が進まず130`を超えていた体重が、半年間で70`を割った」と懐かしそう。厳しい訓練にも慣れ、居心地も良かったが、親の説得もあり3年間の任期満了後、家に戻った。
 子供の頃から慣れ親しみ、高校生の時もずっとアルバイトをしていた現場の仕事は「全く抵抗感はなく、体力的にも楽だった」。ただ、経験豊富な同世代の職人には「絶対に負けたくない」と腕を磨き、1989年の全国建築塗装技能競技大会では準優勝に輝いた。その2年後に他界した父親は、口数が少なく経営等に関するアドバイスは一切聞けなかったが、その背中から「顧客の信用を失わない仕事をする」という確固たる姿勢を学んだ。
 今年5月、日本塗装工業会の熊本県支部長に就任、熊本県塗装防水仕上業協同組合でも副理事長を務める。会員や組合員の増強に向け「情報提供や講習会・研修会などが受講できるメリットを強調したい」と意気込む。人材確保についても「まずは小中高校生や保護者の方に、塗装の仕事内容や重要性を知ってもらうことが大切」として、ボランティア活動や学校への出前講座などでアピールを続けることが、解決に向けた一つの方策に繋がればと期待する。
最近の楽しみは、隣で暮らす4歳と2歳になる孫の成長。「でも遊ぶのは2人の機嫌がいい時だけ」と目尻を下げる。熊本市中央区在住、56歳。
2018.9.24掲載

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