平成28年度「現代の名工」を受賞した
丹波工業代表 丹波秀朗氏
常に作品を見つめ直したい
「先輩方を差し置いて、50代の私がこのような賞を頂いて良かったのだろうか」と控えめに語る一方、「まだまだ勉強しなければならないことがたくさんある」と自分に厳しい。
昭和56年に大津産業高校(現・翔陽高校)開発機械科を卒業後、上内工業に左官見習いとして5年間修行し、昭和62年に丹波工業に入社。平成18年からは代表を務めている。
「就職する時、機械工の技術を勉強していたこともあり、左官工になることに、かなり迷いがあった。担任の先生が『りっぱな左官職人である親父さんの後を継いでみてはどうか』とアドバイスされ決意した」と振り返る。
左官の道に入ると、RC造など大きな建物を仕上げる野丁場左官≠ニ、一般住宅などを仕上げる町屋左官≠ェあることを知った 。上内工業時代は、野丁場左官が大半だったのに対し、自社では、町屋左官がほとんど。「ブロックづき、タイル張り、住宅基礎工、鉄筋組立てなど、いろんな職種の仕事をやった。左官工では、
漆喰仕上げを本格的に手がけ、仕上げ材料の取扱い≠フ技術を磨いていった 」と語る。
今では、漆喰仕上げに関する卓越した技能を有し、地元菊池地域特有の「なまこ壁」を伝統的な配合技法で仕上げる高度な技術も身に付けた。平成21年に手がけた蔵の改修工事では、よどみのない白壁、外壁から天井への曲線のライン、美しい丸みを帯びた出隅など、すべてに妥協のない左官技術が遺憾なく発揮され、日本漆喰協会作品賞を受賞した。
しかし、「どんなに成功した作品でも、決して満足することなく、第三者の立場で厳しく見つめ直すことにしている」と常に前向きな姿勢を貫く。
今後の目標は、先人達がどういう風に材料を仕上げていたのかを勉強し、さらに、新しく開発された材料を勉強していくことと話す。
菊池市で妻と両親、子どもと5人暮らし。53才。 |