平成27年春の褒章で黄綬褒章を受章した
(株)熊野組代表取締役 熊野祐一氏
測隠の情≠ナ感謝の気持ち



 惻隠の情≠ノ憧れ、そうありたいと願っている。「一般的には同情する心だと捉えられがちだが、そんな上から目線ではなく、相手の立場に立って物事を感じ取ることが出来ればと思っている」。中国の儒家・孟子の考え方を自分なりに解釈し、徳に近づくことで感謝の気持ちを表す。
 昭和40年代の高度成長期に勤めていた東京の設計事務所から家業を継ぐために帰郷。他界した父に代わり途方に暮れながらも母をはじめ建設業を営む叔父たちに助けられ、会社を切り盛りした。「設計事務所では、あっという間の3年だったが、一級建築士や一級土木施工管理技士など、建設業に必要な資格取得に励んだ」と猛勉強に明け暮れた当時を懐かしむ。
 これまで玉名市建設協会理事長、熊本県建設業協会玉名支部長の大役をこなし、県内建設業への貢献は周知のとおり。城北地区の事業量が減少する中で、それに呼応したかのように同業者が減ってきていることを杞憂する。2代目、3代目のオーナーへと続々世代の交代期を迎えており、玉名地区における建設業の将来像が今一つハッキリしないことへの焦りもその憂いに拍車をかける。
 「頼みの綱は、有明海沿岸道路の延伸。大牟田市から荒尾〜長洲〜玉名〜熊本市へとつながるU期工事は数百億円規模の事業量がある。それに付随し、国道、県道、市町村道の整備も期待できるだろう」。現在、この道路は一昨年、計画段階調査に着手。概略ルート、構造等の対応方針の決定に向けた作業を促進中で、県北業者の希望の星≠ニなっている。
 歴史小説が好きで、いろんなことを歴史に学んでいる。心に残る作品は司馬遼太郎著の『項羽と劉邦』。「天才肌でエリートの項羽と対照的な庶民派の劉邦。最終的には親分肌で人なつっこい劉邦が漢王朝を打ち立てる」と自身にもリンクさせ、人との付き合い方にも活かしているという。「やっぱり人に好かれる人が勝つ」。相手を思いやる心が人とのつながりをより一層深めていくのだろう。
 昭和22年生まれ。67歳。
2015.5.25掲載

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