平成25年春の褒賞で黄綬褒章を受章した
(株)九州消防設備代表取締役 青木亮二氏

妥協が人の命を失う


写真 火災現場の最前線に立つ消防士らが心得る消防法の第1条に、「国民の生命、身体および財産を火災から保護する」(抜粋)という総則がある。「胸に刻むことは同じで、我々業界も国民の命と財産を守る仕事に変わりはない」。消防設備業を歩んだおよそ半世紀の間、決して揺るがない信念だ。
 昭和40年代後半に発生した大阪市と熊本市のデパート火災を受け、消防用設備等の点検報告制度が施行された。防火対象物の所有者らは6カ月毎に点検し、1年または3年に1回消防署等へ報告しなければならない。
 「だが現在、熊本県下の点検報告率は半数にも満たない39%。防災意識の低さを嘆いている」。様々な火災事例を目の当たりにし、設備をきちんと管理していれば助かる命があることを熟知するだけに「点検の必要性の周知が私の最大の使命」と訴える。
 業界に入ったのは、高校生の時に近所の民家で起きたボヤ騒ぎがきっかけ。とっさの判断で家の扉を蹴破って入り、コタツから上がっていた炎を消した。「その時に消防士から貰った感謝の言葉が忘れられなかった」。数年後、新聞紙上で見た地元消防設備企業の求人広告に「これだ」と迷いなく進んだ。
 現在の会社を創業してからは44年が経ち、施設の点検の契約件数は2300件に上る。県内では唯一という消火器リースの独自事業も展開し、問題となっている管理不備による老朽破裂事故や、お年寄りを狙った悪徳訪問販売の防止に貢献している。
 「我々の仕事は妥協すれば人の命を失う。何があっても手を抜くことはいけない」。てきぱきとした行動で熊本の安全安心を支え続ける。熊本市北区徳王出身。68歳。
2013.06.20掲載

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