平成24年秋の褒賞で黄綬褒章を受章した
(株)鍬田電設 代表取締役会長 鍬田敏夫氏
支えてくれた地域へ恩返しを


写真 今年は、天草島内に電灯がともって100周年の節目の年で、今月行われた九電OB会(九友会)主催の記念イベントでは、半世紀にわたり島内に灯りをともし続けてきた中心人物の一人として招かれた。「これまでやってこれたのは、地域の皆様が支えてくれたおかげ」。壇上で感謝の心を表した。
 昭和30年代の島内は、電気の普及が進み始めた時代。電気業に縁はなかったが「これからはこの仕事だ」と、中学卒業と同時に業界の道に進んだ。地元の電気会社に入り、地域からの工事依頼で多忙を極め、山奥など自転車で3時間かけて行く過酷な事も。「それでも家に灯りがついた時のお客様の喜ぶ顔が嬉しかった」と、10代の思い出を振り返る。
 昭和41年に独立してからは「天草地域のため」を常に模索する。出身地ではない旧有明町に社屋を構えたのは「電気工事会社がなく、この地なら貢献できる」との考えから。地域は温かく迎え入れ、海沿いの町で電灯を待ちわびた住民の心に灯をともしてきた。
 町商工会の会長職を務めた経緯もあり、町特産のタコを活かしたまちづくりを取り仕切り、観光面の活性化にも携わっている。考案した受験生向けのお守り(オクトパス)は、全国にタコの町≠知らしめた。
 「とにかく、町や天草地域に恩返しがしたい」。現在は、電気工事業以外にも会社組織に福祉事業部を設置し、認知症者を対象としたグループホームを運営。今後、施設の拡張も考えているという。「これからも感謝される仕事を続けたい」。改めて決意を語った。
 旧姫戸町出身で、昭和16年2月27日生まれの71歳。有明町の自宅には妻と長男夫妻、孫2人の三世代で暮らしている。
2012.11.22掲載

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