平成24年度全技連マイスターに認定された
(有)東瓦工業代表取締役 東平和氏
「顔の見える仕事」心がける
歯切れの良い言葉の中から仕事への使命感がほとばしる。「良い仕事を確実に仕上げていくだけ」。64歳で、今なお日焼けした太い腕の現役職人だ。
父が営んでいた瓦業の2代目。昭和42年に小国高校を卒業以来、セメント瓦の販売施工に従事してきた。平成に入ってからは陶器瓦の市場拡大とともにセメント瓦が衰退。業態を施工業一本に絞り、いわゆるモノから技術≠ヨの転換を図った。
「技術力が大したものかどうかは自分では評価しづらいが、お客様の思いを遂げるために精一杯やっている」。単価競争が主流の業界の中にあっても、施主と地道に接する機会をつくり、「顔の見える仕事」を心がける。
屋根施工で一番大切な技術は、瓦を葺いた時の線の美しさという。出来映え一つで屋根は良くも悪くも様々な表情に変わる。今春に雇った若手には、納得するまで何度も仕直させ、「家を守る気概で仕事をしろ」と檄を飛ばす。厳しい後進指導も「日本の伝統を後世に残すためだ」と力を込める。
県瓦工業組合では昨年から代表理事を務め、着任早々には太陽光部会の設置に尽力した。「これからは、屋根と密接に関わる太陽光分野のリーダー的役割を担わなければいけない」。業界を導く方向性もはっきり見定めている。
「仕事をしている時が一番気が楽だから、屋根を見るのが趣味」と言い切る。出掛けた旅行を思い返しても、浮かぶのは行く先々の瓦の景色ばかり。「死ぬまで屋根の上に登っているだろうな」と独り言つ。
菊池郡大津町に妻と2人暮らし。 |