国土交通省熊本営繕事務所長に就任した
菓子野 富造氏
「和≠意識したものづくり」
九州地方整備局をはじめ、鹿児島や長崎の営繕事務所で、官庁施設の企画や設計、管理に携わってきた。熊本は24年ぶりの赴任。「当時に比べ、街が大きくなった」と印象を語る。早速、復元された熊本城本丸御殿を訪れ、その壮麗さに驚いたという。
「建物は、たくさんの人の手が関わって出来上がる一つのものづくり」。建築にやりがいを感じてこの仕事に就いた。人が集まるという点では、官庁施設も百貨店や病院などの民間施設も同じ。だが、税金を投入して造る以上、官庁施設は一般の人に親しんでもらえるものでなければならないと、その責任を強く受け止める。
官庁営繕施設の政策自体が昔と様変わりしている。ストックが増え、それを有効活用するための保全に力を入れている。長野に赴任した際に新潟県中越地震を体験したため、公共建築物を管理する立場として災害の恐ろしさも気になるところ。「環境、コスト、耐震などを考慮しつつ、長く使っていくことが時代の要請」。
熊本駅周辺地区に建設中の新しい熊本合同庁舎については「県、熊本市が進めている道路整備との相乗効果で、地域活性化の起爆剤になれば」と、堅実な事業の推進を約束する。
建設業を目指す若者が減っており、業界を支える人材づくりも悩ましいところだ。営繕事務所では、建設業の魅力を伝えようと高校や大学を対象に現場見学会を計画。「実際にものづくりの現場を見ることで、興味を抱く人がいるはず」と話す。「設計を志す人にとっては、熊本にはアートポリス施設があり恵まれてますね」。
和≠ニいう言葉を常に意識する。建物は沢山の人の知恵と考え、こだわりがあって出来上がる。環境との調和や、建物そのものの調和も必要。「いろんな『和』を大事にしながら、みんなで造っていきたい」。
熊本市の官舎で妻と2人暮らし。宮崎県出身。55歳。 |