住生活月間功労者表彰で国土交通大臣表彰を受賞した
(有)野島工業所代表取締役 野島實氏
左官職人は努力≠ェ一番
「嬉しいのひと言。ただ今後は、賞に見合った仕事をしなければ」。笑顔の後、現状に甘んじてはいけないとすぐに口元を引き締めた。
代々、大工などの職人が多い家系。左官を選んだのは、同じく左官をしていた叔父の技術に魅了されたからという。単身大阪での武者修行の後、昭和55年に独立。今の会社の基礎を築いた。
個人住宅をはじめ、上天草市大矢野町の天草四郎メモリアルホールの外観など大規模な左官工事も担当してきた。施主に対しては礼儀を重んじ、いつも作業1時間前には現場に着く。「駆け込みでする仕事は大きな事故に繋がり信用もなくなるから」と。
「左官職人は、器用さや機敏さよりも努力することが一番」。それが長年職人を続けて見つかった答え。しかし、機械化全盛の現代では、昔に比べて手間がかからなくなり、「今の若手職人は楽なほう。それに伴って努力や根性が足りなくなってきた」と嘆く。
それでも左官技術を途絶えさせてはならないと、弟子に対しては日々徹底指導して技術を叩き込む。自身を「厳しいよ」と分析するが、その弟子たちの帰りを日々事務所に灯りをつけ、社長自ら待ち受ける優しい一面も。「お帰り、お疲れさん」の声かけだけは忘れたことがないそうだ。
魚釣りが好きで、2級の船舶免許を取得し、船も所有している。ただ、最近は仕事と後進の指導で忙しくて、しばらくお預け状態。「今度はいつ行けるか…」。天草市有明町で妻と2人暮らし。昭和23年生まれ。60歳。 |