平成19年建設事業関係功労国土交通大臣表彰を受賞した
中川誠之建築設計事務所長 中川誠之氏
「日韓建築士の交流深めたい」
「長くやっていたから受賞できたのかな」とはにかむ一方で、「この賞を頂いたことは驚きであり、逆に喜びでもあります」と感慨深く語る。
小さい頃、祖父が商売のため、自宅の部屋を増築した。その時、茶室や長押(なげし)付きの立派な座敷に魅せられたことや、ものを作ることが好きだったことから、建築の道に進んだ。
昭和36年に熊本工業高校建築科を卒業後、会社勤めを経て、設計事務所に入社。28歳の時、1級建築士の資格を取得し、翌年、独立した。
「26歳で初めて1級建築士試験を受けた時、学科は一発で合格したが、製図は2度失敗した」と苦笑いする。「その頃、製図は最も得意で、自信過剰なとこもあった。県の試験担当官から『製図の試験と思わずに、法規の勉強と思いなさい』とアドバイスされたことが、今でも非常に印象に残っている」と振り返る。
事務所設立後は、旧泉村の「せんだん轟の滝」公衆トイレや休憩所など小規模施設から、学校校舎、体育館など大型施設まで手がけた。民間の住宅も数多くこなし、依頼者の意見を徹底的に聞き、現場でトラブルがないよう設計には時間をかけた。
29歳の時、寥F本県建築士会に入会。青年部会発足に携わり、その後、第 5代青年部会長も務めた。昭和48年に岡山県で開催された「青年建築士の主張を聞く第16回全国大会」では熊本代表に。また、昭和59年に「第27回建築士会全国大会・全国研究集会」が初めて熊本県で開催された時は、2年がかりで準備を進め、開催実現に一役買った。
現在は、常務理事と交流委員長を兼任。交流委員活動では、平成16年から韓国の大韓建築士協會・慶尚南道建築士會と友好親善の交流を結び、1年おきに行き来している。
「他国の建築士との交流を通し、文化、歴史などの様々な面で、日本との違いを見ることができ勉強になります」。
趣味は映画鑑賞、旅行、書道など様々。旅行で訪れた建築物では、岡山県の国宝・閑谷(しずたに)学校や、鳥取県の三徳山仏寺奥の院(投入堂)が特に印象に残っているという。
現在64歳。熊本市で妻と2人暮らし。 |