国土交通大臣表彰(建設事業関係功労)を受章した
苓州建設工業(株)代表取締役社長 小野川豊氏
「自分に自信を持てば何事も出来る」
昭和40年、土木技術職員として熊本県に入庁。直ぐに県営船津ダムの設計・積算を担当し、現場監督、完成まで全行程に携わる。苦労と喜びを噛み締めていた時、家業を営む父が倒れ、思いも寄らぬかたちで帰郷。「弟が後を継ぐものと思っていたが、当時はまだ学生。天草から社員が迎えにきたもので・・」。僅か5年での退職だった。
今に比べ測量技術が確立されていなかった時代。大学の建築工学科で土木を専攻した経験を生かし、即戦力の技術者として幾つもの現場を走り回り、汗を流した。
仕事を順調にこなし昭和52年に社長就任。自身がそうであったように若い社員に現場を任せてみたが、結果は裏目に。責任の重さを感じたのかノイローゼになったり、現場を放棄して逃げ出したり。経営者の立場に立って初めて、人を動かす難しさを知った。
それ以来、社員に対しては「必ず出来るから自分に自信を持て」と言うのが口癖になった。もちろん自信を持つためには勉強も必要で、人の意見を聞くことも、技術屋としての信念を持つことも大事だと。
建設業は厳しい冬の時代。光触媒によるエアクリーナーの開発やアスベスト除去工事など生き残りをかけた新事業を模索する。「あくまでも建設業という本業の延長線上にあるものの幅を広げ、勝負したい」。
週に1回のペースで友人と近所の海へ船釣りに。「ストレス解消には一番。何もかも忘れられる。魚を捌けないので近くの寿司屋に持っていって、友人と飲んで騒ぐ」。
陸に上がれば、社長業のほか、(社)熊本県建設業協会天草支部顧問、熊本県農業土木技術研究会副会長、熊本県森林土木建設協会副会長、全日本漁港協会熊本県支部長と数多くの要職が待っている。建設業の振興・発展のため的確に仕事を捌いていく。
昭和17年生まれの64歳。天草市で妻、娘夫婦と4人暮らし。 |