平成18年春の褒章で黄綬褒章を受章した
共栄建設(株)代表取締役社長 吉永 一郎氏
「公共工事の必要性キチッと説明を!」
「業界発展のために寄与できる要素があれば、生涯現役でありたい」と厳しい建設業の現状を憂うこその想いに社会が応える。春の叙勲で黄綬褒章を受章。このほど開かれた熊本県建設業協会天草支部の総会で、3期目となる支部長就任が決まった。業界も易々と隠居の道は許さない。
天草は建設業が雇用の多くの受け皿となっている。過去、国や自治体が相当数の各種事業を展開し、雇用の場を支えてきた。「天草は建設業の他に産業がない。今のままでは働く場所がなくなる」。現状を的確に把握するリーダーの焦りは限界に達している。
「公共事業の必要性を誰もキチッと説明しきっていないことに問題がある。社会資本の整備がこのままでいいのか。建設業が悪玉にされて黙っているのか。ビジョンを示してみんな(国民)を納得させることが重要だ」。
入札方式は今、総合評価による発注形態へと大きく移行しようとしている。落札価格に技術評価を加えて総合的に評価する仕組みだが、様々な課題も表面化している。「持ち点制度を変えていかなければ、地方切り捨てになることは必至。寡占化が進めば益々、地方経済は衰退するだろう。どうにかしなければ」と地場企業育成策を念頭においた、今後の活動に意欲を見せる。
異分野への進出も「新たな雇用創出に必要なカギだ」という。「10年、20年とかの経験があれば問題ないが、ほとんどの業者がやっているのはサイドビジネス程度。天草は建設業が基幹産業なので、失業対策事業とならないよう、産業システムを確立するべき」。
自らは3年程前から、梅栽培のサイドビジネスを始めている。現在3カ所、約7fに約2000本を栽培しており、そろそろ売買ゲームにも参加できるそうだ。「産業として成り立つには1万本以上が必要。現在、土地を物色中だ。ここまで来たら引っ込みがつかない」。梅の名産地として『天草』が名を馳せる日を目指す。
昭和11年生まれ。69歳。 |