南関町御茶屋木戸口扉に竹細工を披露した

元熊本県伝統工芸館 技術伝承養成講座
竹工芸講師 四ケ所 大木
しかしょ・もとき


四ケ所大木氏 「最近、右腕の利かんごつなってですね。(竹細工の材料をつくる)ヘゴハギのでけんとですよ。リハビリして早う治そと思とります」。この3月に83歳を迎えた四ケ所さん。伝統工芸の竹細工を今に伝える。昨年竣工した御茶屋跡の周辺整備で、木戸口に竹の素材を使った扉を製作し、その繊細な腕を披露する。
 小学生の頃、竹細工職人だった父から技法を学んだ。当時、八女市でアンペラ(竹で編んだ筵)を作り、三井炭鉱に納めていた。小児マヒで足が不自由だった四ケ所さんは、学校にいくのもつまらなかったので、父を手伝いながら、竹細工に没頭した。
 「プラスティックの入ってきてかる生活のできんごつなった。ハウスの竹も作ったこつのあった。竹細工はカネにはならんばってん、南関におる以上は恥ずかしかシゴツはしょうごつなかです」。職人気質で生真面目な人柄が、伝統工芸を支えている。
 竹は3〜4年ものが一番いいそうだ。季節も関係し、時期が悪いと水気が出て曲がってしまうという。その見極めも全てこれまでの経験。竹の一本の厚みで8枚程度を材料として切り裂く。長さは約7b。「3、4年したっちゃ、絶対おぼえきらん」
 竹細工のデザインも自分で考えている。今は60種類ぐらいで、その技を県の伝統工芸館や地元南関町で伝えている。道具は熊本市内の刃物屋さんにお願いした特注品を使う。切れ味は見事で、これまで評価された数々の作品には使い手との息遣いが表れる。綺麗なモノを作るには、すばらしい技術と道具が必要なことを証明するかのように。
 50年連れ添った奥さんは、いつも一緒。今は車椅子が必要な四ケ所さんをバックアップする。「喧嘩はしょっちゅう。教ゆっときにぁ腹の立つこつもあるですよ。したっちゃ弟子やら生徒にゃ当たられんでっしょ」。信頼する奥さんはそのへんはツーカー。横でニコニコしながら見守っている。
 南関町の自宅で奥さんと二人暮らし。大正12年生まれ。
2006.04.17掲載

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