春の叙勲で旭日小綬章を受章した
(株)岩永組代表取締役会長 岩永研一氏


 熊本県建設業協会の要職を通算24年間務め、建設業界のリーダーとして業界発展に大きく貢献し、県下にその名を博した第一人者。

 熊本大建築科を卒業後、岩永組に入社。大学で学んだ事が現場では通用しないことを痛感し、知識や理屈を振りかざしても人は動かないことを知る。誰よりも早く出社し、一番最後に退社した。たとえ雑用でも何かをする時は作業員と一緒。ただ心の中には「負けたくない」という思いが常にあったという。「自分が率先して一生懸命に頑張っていれば、人は必ずついてくるもの」。

 昭和30年には同年代の8人で建伸会を立ち上げる。交流しながら、大いに勉強をしようというのが主旨。同業他社の人たちとお互いに切磋琢磨した。情報交換し、新工法・新製品があると聞けばすぐ見学に行った。よく勉強していると取引先から一目置かれることも。「建伸会での勉強も含め忙しい毎日だった。大卒で一級建築士を取得していたこともあり、先輩方から可愛がられ、いろんな会合にひっぱり出された。人に出来ない経験をさせてもらい、今になって思えば大変有り難いこと」と当時を振り返る。

 公共事業が年々縮小。税金の無駄遣いとか、談合で自分たちのために価格を引き上げているとか、業界への風当たりは強くなるばかり。情報伝達がスピード化し、正しいこともそうでないことも直ぐに一人歩きしてしまう。「一つ一つの報道が真実かどうかを見極める力も必要」。誤解を受けやすい社会的な風潮に「今はムードがいかん」と嘆く。

 「いずれにせよ我々の業界が無くなることはない。自分たちが守るべきことを自覚し、地域社会に貢献できる仕事をしているんだというプライドを捨ててはいけない。そのためにももっとみんなで知恵を出し合わないと」。次代を担う若者にメッセージを送る。

 皇居での授章式は平成5年の黄綬褒章に次いで2回目。「正直言って私でいいのかなという気持ちだったが、陛下にお会いし光栄に浴したことで、長年やってきて良かったという思いになった」と謙虚に喜びを語る。昭和7年生まれの71歳。熊本市国府四丁目在住。
2004.05.24掲載

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