脱型不要、軽量で簡単に素早く施工
残存化粧型枠「デコメッシュ」
トータルコストを大幅に縮減、環境への配慮も


フリー工業(株) 中田陽明九州支店営業部長

 型枠の脱型を不要にし、意匠性や機能性に富んだ残存型枠工法。建設廃棄物の抑制など環境に対する意識の高まりや、コスト縮減対策が叫ばれるなかにあって、特殊な軽量金網を使用することでこれらの問題をクリアした新しい製品を、熊本県出身者が代表を務めるフリー工業梶i本社・東京)が開発した。
 『デコメッシュ』と名付けられた残存化粧型枠の最大の特徴は、1平方bあたり8・5`cと超軽量であること。従来の残存化粧型枠はクレーンでつり上げて設置するのが一般的だが、デコメッシュは人力での運搬が可能で、組立てにも重機を必要としない。高所や急傾斜地、現場への進入路が狭いなど重機が入らないような場所でも施工できる。
 同社は、10年前に法面工事用の現場打コンクリート枠工「フィットフレーム工法」を開発。従来重くて作業に苦労していた受圧板の型枠に、防錆性に優れた新日本製鐵叶サの高耐食性溶融亜鉛メッキ鋼板を採用したことで、フィットフレーム工法の軽量化を実現し、全国の多くの現場で使われるようになった。「この鋼板の良さを活かし、法面工事以外にも使える残存化粧型枠は出来ないものか」(西澤睦博技術部建材次長)という思いから新製品開発に着手。このほどNETIS〈KT-070100-V〉(国交省新技術情報提供システム)に登録された。
 金網の表面はブラインドメッシュ化されており、余剰水や気泡が素早く排出でき、また打設面を表面から確認することで均一なコンクリート品質が簡単に確保できる。金網の表面は凹凸加工された粗い状態で、打設と同時に石積状の景観となり生物に優しい環境を創り出す。
 高速道路鰍竓ヨ東地方の県発注工事など試行を含め全国で8件の実績があり、その性能は実証済み。製品価格は、既存の型枠とほぼ同じだが、工期短縮や省力化、建設廃材を排出しない、自然環境への配慮―などトータルコストで捉えればその効果は大きい。
 「コンクリート擁壁や堰堤、ブロック積工、石積工の代替えや既存石積工の補強など、あらゆるコンクリート構造物の構築に使用できる。まずは製品・工法の良さを知ってもらい、施工実績を重ねていきたい。将来は熊本県内に代理店を置き、九州に製造工場も」と話すのは九州支店(熊本市戸島町)の中田陽明営業部長。環境とコストという次代のニーズを担っている。
2008.12.08掲載

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