熊本県独自の統一ピンネット工法
外壁剥落防止に画期的工法、小・中学校の施工実績は九州一

熊本県防水工事業協会の遠山誠也ピンネット工法委員長

遠山誠也・熊本県防水工事業協会統一ピンネット工法委員長 鹿児島県川内市で北西部地震が発生した年に、学校の外壁が部分的に壊れたにもかかわらず、剥落を阻止できた現場写真を目にした。その現場には、既存仕上げ面に応じてネットとアンカーを使い分け、既存面の上から直接新たな外壁面を仕上げ、地震時の外壁剥落を防止できる「ピンネット工法」が採用されていた。
 その当時、熊本市でも、小中学校で小規模の外壁落下が頻繁に発生し、生徒の安全確保が問題となっていた。また同時期、北九州では地震による外壁落下で、死亡事故が起きていた。
 そこで、熊本県防水工事業協会では、塗装業組合に呼びかけ、長期的な視野から、地震時の外壁剥落を防止できる画期的なこの工法に着目し、平成8年から熊本県独自の工法開発に乗り出した。
 当時は、この工法が全国的にも出始めた時期で、メーカーの仕様も様々。また、仕様によって検査方法等も異なり、「どういう検査をしていいのか」「どの検査方法が正しいのか」などの課題もあった。
 このため、ある程度の検査(基準)ができる工法をつくることを目標に、統一仕様書の作成に着手。旧建設省の評価基準に合格した全メーカーの優れた点を一つに集約し、最終的に各メーカーの承諾を得て、仕様書作成の完成までに約2年を要した。また、同工法を行うための試験制度(プライベートライセンス)を設け、技能士の養成および工法の普及に努めている。
 当協会の統一ピンネット工法は、@アンカーピンでがっちり固定A強靱なネットが壁面を一体化Bネットで平滑りな仕上り面を確保C表面クラックを防止―などが特徴。
 最初に手掛けた工事は、平成10年12月、熊本市発注の「出水中学校大規模改造工事」。その後、17年度末までに熊本市で、小学校80校、中学校37校。棟数では小、中学校合わせて152棟を施工した。このほか、人吉市、熊本県(建築課・営繕課)発注の学校施設においても採用された。

ピンネット保険の適用は全国でも熊本県のみ
 工法的には、全国的にあまり変わりはないが、熊本市で行った工事の全ては、従来のように一部分を補修するのではなく、建物全体をピンネットで囲って施工している。また、すべての物件に対し、ピンネット保険(賠償責任保険)を適用し、施工後、10年間の賠償を保証している県は、熊本県だけである。
 同協会の遠山副会長は、これまで熊本市の施工物件が、学校施設中心だったことから、今後は、公営住宅等に広げていくことを目指す。また「この工法の良さを是非、民間の方にもわかってもらって改修工事に採用してほしい」と意欲を示す。
2006.05.18掲載

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