熊本県ドローン技術振興協会を設立
熊本県ドローン技術振興協会 上村雄二郎理事長
安全運航管理習得しフライトを



 小型無人機「ドローン」をめぐる相次ぐ事故・事件が社会問題となっているのを背景に「一般財団法人熊本県ドローン技術振興協会」が8月設立された。役員全員が小型航空機のライセンスを持つ、いわば法的・技術的な裏付けがあるプロ集団。上村雄二郎理事長(熊本空港小型機会会長)は「企業がドローンを導入する上で運航管理を知るのは最低限必要なこと。安全教育を普及する協会の責任は大きい」と話し、今後、法令に沿った安全・確実なフライト技術を支援していく。




〈協会によると、ドローンは今後5000億から1兆円の市場規模になるとも言われる。産業界への導入効果は大きく、県内でも100機以上が業務用として普及している〉
 空からの静止画・動画の取得は、これまで飛行機を飛ばして航空撮影をするなどの方法でした。しかし資金力のある大手企業に限ったこと。ドローンは無人ですし、比較的安価で購入でき、中小企業においては業務の新たな付加価値となります。
 県内で導入しているのは、建設業、農業、マスコミ業など多様な業種です。建設業では、事業計画書作成や工程管理、災害調査、環境調査、簡易な測量調査などを目的に導入する企業が増えていますね。
〈ドローンが急速に拡大する一方、運航に関するルールに注目が集まっている。9月4日には、改正航空法が成立し、国の許可なしに住宅密集地や空港周辺で飛行を禁止し、違反した場合は50万円以下の罰金を科すとされた〉
 我々パイロットは、「飛ぶものは必ず落ちる」という意識を常に持っています。その上で、安全管理をしっかり学んでからフライトします。無人とはいえ、人の手で操縦するドローンも全く変わりません。確かにネットなどで購入でき取扱説明書のみで飛行は可能です。ただ航空法が改正された今、企業で導入を検討するならば、安全運航管理の習得は最低限の努力事項です。事故を起こしては会社の存亡にも関わりますから。
〈協会では、運航ルールの確立や行政への対応・協力、中小企業のドローン導入支援などを方針に、▽デモフライト▽安全講習会▽委託撮影の3事業を展開する〉
 デモフライトは、「まず見てもらう」ということ。業務用大型機(S1000)と小型のベストセラー機(ファントム3)の2機種をいつでも持ち出す準備をしています。用途にあわせて実機の説明を行い、企業・団体に関わらず県内どの地域でも無料で対応します。
 安全講習会は、会員に対する必要な知識の指導です。月1回(座学1時間、実技1時間)計12回の講習を1セットとして計画しており、ドローンの概要や特性、取り扱い、導入事例などを教えます。もちろん安全な運航管理を徹底するのが大命題なので、航空法の解説は毎回実施します。
 一方、委託撮影は、実際に企業が業務で必要なデータの取得を、豊富な経験や知識を持つスタッフが有料で引き受ける事業です。
 例えば、河川や道路など広範囲な場所の垂直写真。座標や高度、目的地までの距離などを大型ドローンに記憶させて撮影するのですが、数百枚もの静止画を合成して一枚の成果品を作り上げるのはとても難しいのです。
 成果品は、3次元データのため、土量計算といったことにも活用できますし、またドローンに記憶した情報(座標・高度・目的地までの距離、スピードなど)を残しておけば、同じ場所を同じ条件で飛ばすという再現≠煢ツ能ですので、着工から竣工までの正確な工程管理に役立ちます。


【メモ】
一般財団法人熊本県ドローン技術振興協会
 安全意識と技術向上を図り、ドローンを活用した健全な経済社会の実現を目指す目的で設立。小売業、不動産業、農業など多様な業種に就く企業や個人で構成し、現在の会員数は20。益城町田原1155ノ12 テクノ・ラボラトリ203に事務所を置く。
2015.09.28掲載

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