建設発生土の処分問題
熊本県建設業協会人吉支部 山口栄治支部長
可能性を模索したい



 「建設発生土をいかに処分するか」。全国の業者が抱える共通の悩みだが有効な解決策を見出すのは難しい。そのような中、群馬県では群馬県建設事業協同組合(青柳剛理事長)が県の委託で発生土を受け入れており、熊本県建設業協会人吉支部(山口栄治支部長)は、その先進的な取組みを学ぼうと現地を視察し、業界団体と意見交換などを行った。




〈群馬県でも建設発生土は落札者の自由処分だが、処分場の確保が非常に困難な状況に陥った。このため、群馬県建設業協会が県に対策を要望し、事業が立ち上がった〉
 人吉・球磨地域でも処分場を確保することは年々難しくなってきており、工事を受注したら、処分場探しに奔走しなければならない。地主さんとの交渉や運搬にあたっての地元説明など工事以外の部分でかなり神経をすり減らしており、最悪の場合、工期が遅延する恐れもあると危惧している。発生土を近場で、かつ安定的に処理できれば、場所探しや整地・整形の手間が省け、運搬コストも明確でわかりやすい。発注者にとっても積算などの面でメリットがあると思うし、仮に削減できた費用を、他の事業に投入できれば一石二鳥の効果が得られるのではないか。
〈群馬県の残土受入・整備事業は、前橋市が土地を提供し、群馬県が施設整備の設計・積算を行い、一般競争入札(総合評価方式)で発注された〉
 受け入れにあたり協同組合では、初期投資として暗渠排水、管理棟・調整池設置、法面工などの工事を行っている。搬入料金は落札金額を設計土量で割り込んで算出し、1立方b当たり917円を搬入業者から徴収するとのことだ。跡地利用についても、前橋市が公園整備を行うということで、地元住民の同意も得られたと聞いている。
〈人吉・球磨地区で事業を実現するには@官需組合の立ち上げA先行投資のための資金B用地の確保と取得者C跡地の利用策―など課題も多い〉
 確かにハードルは高いが、一つのモデルケースとして何とか実現できないか可能性を模索したい。我々は地域に根ざした企業の集まりである以上「絶対に無責任なことはしない」ということを住民の方にも訴えていく。跡地についても、観光振興など地域の活性化に繋がるようなアイデアを出せば付加価値も高まる。我々の考えを県に対しても正式に申し入れ、発生土問題の解決に向け、一緒に検討して頂きたいと願っている。

【メモ】
建設発生土処分場管理運営業務委託事業(群馬県)
 発生土の長期的かつ安定した受け入れを行い、リスクの低減や公共事業の円滑な推進に繋げるのが目的。群馬県前橋土木事務所が発注し、群馬県建設事業協同組合が平成24年2月に落札した。29年度までの6年間に20万4000立方bの建設発生土を受け入れる計画。
2015.08.31掲載

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