(株)緒方建設工業(菊池市) 荒木新二さん
伝統ある工法を後世に


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 日本の食文化を支えてきたかまど=B現在では製作にかかる手間や難易度の高さ、需要の低下などを理由に作り手が減少している。菊池市で左官業を営む鰹助建設工業(荒木新勝代表取締役)の荒木新二さんは、伝統あるかまどの工法を学ぶために、試作品の製作に挑戦。過去に技能五輪全国大会で金賞に輝いたその才腕を活かして、伝統工法の習得に励んでいる。




〈きっかけは新規オープンを控えた飲食店からの製作依頼。滅多にない機会だと思い、仕事を引き受けたものの、これまでにかまどの製作に携わった経験は全く無かった〉
 まずは見本となる試作品を製作しようと思い、かまどに関する本を読みあさり、基本から勉強しました。経験を積んだ先輩方が周りにいる恵まれた環境でしたので、色々と相談してアドバイスを頂きながら製作を進めていきました。
〈初めに山砂を使った洗い出しの土台を製作。その上に耐火レンガを円形に積んで、その周りを土や石灰、わら、油煙を混ぜ合わせた材料を塗り重ねて固めていく。2月の初めから通常の仕事が終わった夜の時間を使って作業に没頭した〉
 粘土質の土を混ぜ合わせるなど、材料の配合方法・比率には気を遣いました。かまどには型が無いため、作業は全てフリーハンド。鏝(こて)だけでなくスポンジを使ってかまどの丸味をだし、光沢のある大津磨き≠ナ仕上げる工程は大変でした。
〈試作品の完成に喜ぶのもつかの間、今度は本番のかまど製作が控えてる〉
 試作品は完成しましたが、まだ商品と呼べる代物ではなく、それ以上に多くの課題が見えてきました。課題の一つとなる煙を逃がす煙道≠フ仕組みを更に研究し、「どういう風に火が回ったら一番良いか」「少ない薪でも効率良く火が焚けるか」などを考え、利用者の要望に応えなければなりません。
 かまどには、地方によって「へっつい」や「おくどさん」など様々な呼び方があります。先人達の知恵と技術が詰まった伝統あるかまどの工法や文化を更に学んで、後世に残していこうと思っています。

【メモ】
かまどの歴史
 古墳時代中期に渡来人によって伝来したと推定されている。以来、様式を変えながら、日本では昭和20〜30年代頃まで一般家庭で使われていた。その後、ガスコンロなどの調理法の発達により減少したが、最近では美味しいご飯の炊き方として見直されてきている。
2011.5.19掲載

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