水俣市都市政策課 境憲明さん
既存の地形を活かして福祉≠フまちづくり


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 水俣市が国土交通省の第22回住生活月間功労団体として、このほど大臣表彰を受賞し、月浦団地の整備に対する功績が認められた。「福祉ニュータウン」として新規開発した居住地には、環境・健康福祉施設を誘致し、独自の地域コミュニティーが構築されている。建設計画の2期目から事業を担当している境憲明さんの喜びも一入(ひとしお)だ。




〈平成11〜21年度の期間で、一般の公営住宅4棟40戸、若者向けの特定公共賃貸住宅1棟10戸を建設。高齢化社会に対応する一方で、若者の定住という難しい課題にも立ち向かった。目的は地域コミュニティーの活性化。新たなまちづくりの展開に視線が集まる〉
 当初は、福祉ニュータウンという名称も示すとおり、高齢者、障害者を中心に考えていました。ところが1期分の建設を終わって入居を募集したところ、ほとんど若い人たちの応募だったんです。ですから2期目から若い人と高齢者、障害者を混合して入れるようにしました。結果的に若い人の定住を促すことができました。
〈約8fの整備地は元々、みかん山だったところ。標高55bを頂点とする緩やかな傾斜地が広がっており、不知火海と天草の島々が見渡せる絶景の環境がある。団地内には幹線道路(おれんじロード)、区画道路(もやいロード)を配置。立地条件、交通アクセスにも優れ、新しいコミュニティーの創出には最適な場所だといえる〉
 水俣市は平坦地が少ないところなので、住宅地の開発には要望が多かったかと。ただ、山を切り開いて人工的な平地をつくるよりも、既存の地形を活かして整備することを心がけました。あくまでも福祉的な開発がメイン。団地内に老人ホーム「恵愛園」、 障害者施設「まどか園」・「まどか工房」を誘致したほか、コミュニティー施設「おれんじ館」、「水俣エコハウス」 (モデル住宅)、月浦ふれあい公園を整備することができました。
〈団地内には 5区画の住宅用地があり、現在 3区画が残っている状態。市内にはほかに水俣うめど夕陽が丘団地も分譲中で、こちらも51区画中9区画の残があるという。地方経済の衰退とも相まって、人口減という現実問題に直面した形だ〉
 今後の住宅政策としては、少しずつ減らす方向となります。市内17団地中、6団地は利便性も低く、用途廃止となるでしょう。月浦団地は福祉のまちとしてイベントも多く、コミュニティも良好です。最近、エコハウスを整備したことで、視察などの来訪者で賑わっています。受賞を機にさらに多くの人が水俣に来て欲しいと思っています。

【メモ】
住生活月間功労表彰
 住意識の向上、ゆとりある住生活の実現および建築物の質の向上を図るため、各分野において活躍した個人・団体を国土交通大臣と住宅局長が表彰する。今回は、全国で大臣賞24件、住宅局長賞9件を表彰した。 
2010.11.4掲載

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