(株)江口興産(芦北町)  和田貴嗣社長
合理化により従業員の雇用確保


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 公共投資が減少する中、その影響をもろに受けているのが生コンクリート業界。政権を握る民主党が謳うコンクリートから人へ≠ェその立場を象徴する。しかし、指をくわえているだけでは何も変わらない。「合理化して最低限の雇用を守る」。轄]口興産(芦北町)の和田貴嗣社長(43)は同志たちと共に闘っている。



〈6月1日から芦北・水俣地区で生コン工場を営む3工場が共同で生コン輸送を行う熊南運送梶i江口隆一社長)を立ち上げた。近く工場についても有限責任事業組合契約に関する法律(通称LLP法)により、3工場を2工場にして合理化することも決まっている〉
 ここまで生コン出荷が落ち込んでくると、1社で利益を確保することは難しい。私が社長をする轄]口興産生コンクリート事業部と太陽生コン梶i江口隆一社長)、芦北中央生コンクリート梶i吉村二三彌社長)が協議して共同事業を決めた。先ずは運輸業から、その次にLLP法による工場を。工場についてはメリットとして税制や融資に優遇措置があるが、何より大切なことは従業員の雇用を守っていくこと。その辺は地元の金融機関にも理解して頂いており、バックアップ体制に感謝している。
〈LLP法による組織は、会社のように有限責任で、組合のように柔軟な組織運営ができる新事業形態。企業の規模を問わず新規事業を立ち上げることや異業種間の共同事業が容易に実施できるという〉
 利益は水俣地区協組でのシェアに応じて分配することにしている。でも事業規模が違う3社が協調することは並々ならぬ決意があったからこそ。それぞれの社長が役員となり、合議制による運営となる。トップに立ってもらう江口社長は、県議や首長の経験もあり、見識も広く適任だ。最終的には3者がタイミング良くまとまって良かったと思っている。
〈生コン業界に身を置く前の和田社長は、大手ゼネコンで建築施工管理技士として現場に携わっていた。10年間の在任中に経験した現場は、マレーシア、シンガポール、メキシコ、アメリカ―と外国がほとんど。英語、スペイン語と現地の言葉を操るビジネスマンとして異色の顔があった〉
 アメリカでのビジネスモデルを一言で表現すると合理的=Bだから我々は段取り良く仕事が進むように、常に打ち合わせを重ねながら進めていた。けれども金だけじゃないところも学んだ。上司との信頼関係、現地の人との信頼関係…。これから私がやらなければならないことは、従業員との信頼関係を築き、会社を存続させること。新しいこと(LLP法)に取り組んだのもそこかな。


【メモ】
水俣地区の生コン出荷状況 熊本県生コンクリート工業組合によると、水俣地区での平成21年度生コン出荷実績は、5万5000立方bで対前年比81・4%。熊本県全体の同70・1%は上回っているものの、コンクリートから人へとの政策転換のもと先行き不透明な状況となっている。
2010.06.21掲載

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